京大卒無職男が作った、真逆の「おたくハウス」

「リア充」よりも幸せな生き方【後編】

人が集まっても大体の場合あまり会話はせず、それぞれが自分のノートパソコンを広げて画面に向かっている。誰も他人に向かってほとんど気を遣わない。みんな勝手に玄関から入ってきてそのへんに座り込んで、ネットを見たりブログを書いたりプログラミングをしたりと好きなことをしている。

目の前にいる相手と会話をするときも、口で発声するのではなくチャットルームを使うことも多い。なぜなら、発声だと同じ空間にいる人としか会話ができないけれど、チャットルームならそこにいない人も含めて多くの人と話すことができるからだ。

 

基本的にネット中毒者ばかりが集まっているので、起きている間は常にツイッターやチャットルームにへばりついている。そこで何を喋っているかというと、どうでもいいネタ会話やネット上のコンテンツやゴシップの話などをしていることがほとんどなのだけど。

たくさんの人間が集まった静かな部屋に、キーボードをカタカタとする音だけが響き渡る。みんなパソコンのモニタを見つめていて、ときおり不意に誰かがニヤニヤしたりするという光景は、全く知らない人が見たら気持ち悪いと思うかもしれない。

でもこういう空間を自分は作りたかったのだ。自分が自分のために作った自分好みの空間はとても居心地がよかった。

異常な人間ほど面白いコンテンツはない

僕が無職だったせいか、シェアハウスに集まるのも同じようなふらふらしている人間が多かった。

無職やニートやひきこもり。フリーランスのプログラマーやライター。ウェブでマイナーな漫画を発表している漫画家。会社員だけど出社が苦手であまり出社しない奴。

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平日昼間に1人で家にこもっていると、周りや社会のプレッシャーを感じて、自分はなんてダメなんだ、という気持ちになってつらくなってくる。だけど、何人かで集まっていると、まあいいか、みんなこんなもんだ、という気持ちになれる。

そんなシェアハウスをしばらく運営していると、ネットで変な人を見つけたときに、「とりあえずあそこに連れて行こう」みたいな感じで、みんな変な人をうちに連れてくるようになった。

地下道で寝泊まりしながらパソコンで絵を描いている絵描き。24時間営業のマクドナルドに泊まっていた変な男。高校を中退して何のあてもなく上京してきた17歳。精神を病んで出社できなくなったプログラマ。ヒモをやっていたけれど追い出されてホームレスになった男。親のモラハラに耐えかねて実家から逃げ出してきた若者。ハッキングで逮捕された10代の少年。ネットで殺害予告をして炎上した大学生。自分の大便をラップでくるんで冷凍庫で保存している男。

ネットには、そして東京には、いくらでも変な人間がいた。いろんな人間がいたけれど、何らかの能力を持ちつつも学校や会社や家族にうまく適応できないというところがみんな共通していた。

そうした全部の人間をスムーズに受け入れられたわけではなかった。たまたま気が合って長く付き合う仲間になった奴もいるけれど、基本的にはみんなクズばかりなので、

「こいつ本当にクソだな、もう付き合いきれん」

とか思って放り出した奴も多かった。