京大卒エリートが会社辞めてしばらくふらふらしてみた

「リア充」よりも幸せな生き方

都内のシェアハウスを転々

その頃の僕は、東京都内のいろんなシェアハウスを1ヵ月〜数ヵ月ごとに転々としていた。その理由は、せっかくだから東京のいろんな場所に住んでみたかったのと、無職でもシェアハウスは入居しやすかったからだ。

普通の家を借りるのには、敷金・礼金・仲介手数料・家具や家電を買うお金など、すごくたくさんのお金がかかる。あと、保証人をつける必要があったり、勤務先などで審査されたりもする。無職には到底無理な話だ。

 

それがシェアハウスなら、デポジットを1ヵ月分くらい預ければ特に審査もなく住める。その代わりそれほど家賃が安いわけではなく、普通のワンルームを借りるのとあまり変わらなかったりするのだけど。

中には環境が劣悪なシェアハウスもあった。都心の狭い雑居ビルの部屋に2段ベッドをたくさん詰め込んで、部屋の中は常に薄暗くてゴミ箱からゴミが常に溢れているシェアハウスや、大きなオフィスフロアをパーティションで無理やり区切って2畳くらいの個室をたくさん作って、そこに詰め込むように人を住ませているシェアハウスなど、法律的に合法なのか怪しいところもたくさんあった。そんな住環境も、よくわからない国でバックパッカーでもしていると思えばそれなりに面白がることができたけれど。

大学の寮みたいなシェアハウス

そんな風に転々としたシェアハウス暮らしを続けているうちに自分にはやりたいことが一つできた。それは「自分で自分好みのシェアハウスを作る」ということだ。

ネットで僕がよく会うような、自分と趣味や好みが似ている人、お酒を飲んでワイワイ騒ぐよりももくもくと本を読んでいるほうが好きな人、普通に会社で働くのが苦手な人、パソコンやゲームや本や音楽が好きな人、そういう人が集まるシェアハウスがあったらいいのに。

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僕のイメージとしては、大学時代に住んでいた寮があった。その寮はとにかく汚くてボロくて、学校に行かないダメな学生がたくさんいて、みんな一日中ゲームをしたりマンガを読んだりしていた。僕の怠惰さは生来のものもあるけれど、あの空間で養分を得て花開いたのだと思う。あの頃は楽しかったなあ。またあんな場所を作れないだろうか。

そんな願望をブログに書いたら、

「家が1軒空いてるけど借りない? 3LDKの分譲マンションなんだけど」

と、ネットの知り合いから連絡が来た。

おお、本当か。渡りに船だ。僕は二つ返事で了承した。

そうして、現在では全国に数十軒あるギークハウスの最初の1つ「ギークハウス南町田」が東京都町田市に誕生したのだった。

「正社員にならねば」「結婚しなければ」「子どもを作らねば」「老後に備えなければ」……「こうあらねば」が人を追いつめている。生きるのが苦しいときは、世間の価値観や周りの意見にとらわれずに、自分が好きなものに立ち返るといい。仕事や家族やお金に頼らず、社会の中に自分の居場所を見つけ、そこそこ幸せに生きる方法を、京大卒の元ニートが提唱。
pha(ふぁ)作家。1978年生まれ。小さい頃から労働意欲に欠け、京都大学を卒業して適当な会社に入社するも3年で辞め、以降ふらふらと定職に就かずにシェアハウスで暮らしている。著書に『持たない幸福論』『しないことリスト』『ひきこもらない』などがある。