# 自衛隊 # 軍事

追跡せよ!陸自特殊部隊が渋谷・歌舞伎町で行っている極秘訓練

「特殊作戦群」の知られざる実態に迫る
伊藤 明弘 プロフィール

隠密行動を見抜くおばあちゃん⁉

制限時間は2時間。エリアは限られているとはいえ、範囲は広く、当然ながら人通りは多い。隊員たちはどうするのか。

ある者は、発見確率の高い場所で張り込む戦術をとったという。たとえば渋谷なら、スクランブル交差点のみを見張り、体力の温存をはかる作戦だ。逃走役を指揮する教官は、こうした隊員たちの作戦を逆手にとることもあるといい、駆け引きが続く。

しかし最終的には、ほとんど不可能に思えるこのミッションも、多くのチームがクリアするというから恐れ入る。

隊旗を持つ隊員隊旗を持つ隊員もけっして素顔を見せない(撮影:伊藤明弘)

また、ところ変わって真夜中の山中でも、チームで監視訓練を行うという。誰にも知れずに入山し、敵であるテロリスト役の行動を追跡するのだ。

 

ある隊員は、山中に潜んでいた夜中の2時に、暗視装置越しに向かってくる人影を見て、すわテロリスト役に見つかったかと緊張したという。だが、その正体は近くの里に住んでいるおばあさん。なんと、夜食を持ってきてくれたそうだ。

そして、「今晩は9人だね」と言って、人数分の握り飯を渡してくれたという。隊員たちは隠密裏に行動していたはずだが、おばあさんには、人数まで手に取るように把握されていた。特殊部隊としては笑えない大失態なのだが、「シニア・ソルジャー」もおそるべしだ。

こうした一見、楽しいゲームのように思える訓練も、厳しい基礎教育・訓練のベースの上に行われている。特殊部隊として欠かすことのできない、臨機応変な対応を可能にする、「柔らかい頭」を育てるためのものなのだ。

そう考えると、陸自特殊部隊の知られざる極秘訓練は、我々一般の社会人にも自分を成長させる方策を示唆してくれているのかもしれない。ルーチンワークに凝り固まることなく、自分の頭を使って、楽しむことが大切だということだろう。