積水ハウスから63億円をだまし取った「地面師」の恐るべき手口

実行犯の「偽装証明書」を入手した
伊藤 博敏 プロフィール

15億円はどこに「消えた」のか

当初、「売買予約は15億円。5億円が現金で10億円が預金小切手だった。一味は、山分けして既に、海外逃亡したものもいる」という情報が、この種の犯罪ネットワークには流れていた。だが、真偽は不明。なにしろ事件化前ということもあって警視庁から「口止め」されているのか、関係者の口は重かった。実際には、手付けどころが売買金額70億円のうち9割の63億円が支払われていたのだ。

その事件性ゆえ、関係者の口は重い。IKUTA社の代表は女性だが、実際のオーナーは「生田姓」の男性。代表にもオーナーにも電話をし、メールで取材依頼をするが、応答はない。また、IKUTA社が事件当時、本社を置いていたのは小林興起元代議士の事務所だったが、こちらの取材には「登記上、事務所にしていただけです」(事務所)というばかりだ。

売上高2兆円を誇る積水ハウスは、さすがに大阪本社広報部が対応したものの、「いろんなことを含めて、いま調査中で、お答えできません」と、要領を得なかった。だが、8月2日になってようやく騙されたことを明かしたわけだ。

積水ハウスの買値は70億円。ただ、これは地面師グループの指し値であり、100億円を超えてもおかしくはない。

 

筆者は周辺を取材、成りすまし女の偽造パスポートを、五反田の複数の住民に見せたところ、同じ反応だった。

「似ても似つかない、別人だ。Sさんはもっと美人で、おっとりした女将さんタイプ。海喜館は3代続く旅館で、戦前、ここらは花街があったんでとても賑わった。戦災で焼けて、昭和24年頃に再建。結構、流行ったんだけど、最近はホテルに押されて客足が落ち、Sさんの体調もあって廃業した。

いろんな不動産屋が買いに来たけど、親の代からの土地ということもあって、Sさんは売る気がなかったみたい。積水(ハウス)が騙されたということで、一時、警察(大崎署)が周囲を囲って調べたりしてたけど、どうなったのか。へぇー、(この写真の女が)成りすまし犯。怖い話だね」(Sさんと交流のあった住民)