「加計問題」と「ロシアゲート」あまりに酷似したフェイク戦略

世界は「印象操作」の時代に入った
海野 素央 プロフィール

加計学園問題の議論が盛んに行われている間にも、北朝鮮はミサイルをたびたび発射しています。しかし安倍首相は、そのたびに「断じて容認できません」「日米韓の連携を確認しました」といった決まり文句を口にするのみで、具体的な対応はしていません。現在の安倍政権の外交はトランプ大統領に依存しており、他方、習近平・中国国家主席とも緊急の首脳電話協議ができる関係ではなく、日本独自の対応策を打つことはできないのです。

皮肉を込めて言えば、安倍・トランプ両氏が、疑惑から国民の目をそらすための「利用価値」を北朝鮮問題に見出した時、両政権は初めて北朝鮮に対して有効な手を打つことができるのかもしれません。つまり、北朝鮮問題は、両氏にとって疑惑から国民の関心をそらすための「共通利益」になりうるのです。この点も、ロシアゲート疑惑と加計学園問題の類似点として看過できません。

 

⑹有効な打開策がない

日米で同時に発生しているこれら2つの騒動の背景には、両国における社会的不信感の蔓延があります。それゆえに、「フェイク戦略」が効果を発揮しやすいのです。勿論、国家権力がこのような「フェイク戦略」を採用して大きな効果をあげることは、さらなる社会的不信感を煽って国民を分断し、混乱を招くために、到底受容されるべきものではありません。

ロシアゲート疑惑及び加計学園問題は、どちらも政権の存続をも左右するクリティカルな問題に発展しただけに、トランプ・安倍両氏にとって極めて大きな重圧になっていることは間違いありません。トランプ政権と安倍政権は、ともに疑惑を晴らし政権への重圧をとりのぞくための有効な打開策を模索していますが、その方向性すらまだ見つかっていないのです。

両政権が「フェイクニュース」というレッテルや「人格攻撃」といった同じような手法を用いて論敵を攻撃し、窮地を切り抜けようとしているのは、「根本的な打開策がどうしても見つからない」という点において両問題が共通しているからです。

どちらも完全には疑惑を晴らすことができない以上、日米両国では今後も同じように、政権側の主張と告発者・野党や政権に批判的なメディアの主張は、平行線をたどり続けるでしょう。しかし、このような政権のやり方を、支持者・非支持者を問わずすべての国民がいつまでも許容し続けるとは思えません。

このまま事態が終息しなければ、いずれにせよ、政権にとっても批判者にとっても「深刻な結果」がもたらされることは確かです。

海野素央(うんの・もとお)明治大学政治経済学部教授。専門は異文化理解・コミュニケーション、異文化ビジネス論。2008年、2016年の米大統領選にて民主党陣営に参加し実地調査を行うなど、米国政治を独自の視点から調査・分析する。著書に『オバマ再選の内幕』『リスクと回復力』など。