「警視庁 生きものがかり」は実在した!で、一体何をしているの…?

ちなみに本当の名前は〇〇係です
福原秀一郎

――福原さんを筆頭に「生きものがかり」の活躍によって、動植物の保護を目的とした「種の保存法」の法改正も行われました。

福原 それが、長い間、この仕事をやっている中での、大きな目標のひとつでした。じつは「種の保存法」の罰則は1993年から2013年まで大きく改正されることなく、たとえば譲渡違反では1年以下の懲役または100万円以下の罰金のみでした。

被疑者を検挙しても、最終的な処分は、略式で罰金20万円~30万円程度。逮捕した被疑者からも「この程度の刑罰じゃ軽すぎるんじゃないの」と皮肉を吐かれたこともありました。私も検挙のたびに苦々しい思いをしてきました。

2013年6月、ようやく条文と罰則が改正され、譲渡違反の罰則は、個人の場合で5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金となり、生きもの事案の犯罪の抑止力が高まりました。

有罪になっても利益が残る法律はおかしい

福原 私は改正されるまでの約10年間、環境省の担当者に事件の資料を見せながら、こんなことを訴え続けてきました。

「スローロリス(東南アジアに生息する原猿の仲間)の密売などは、海外での動物の仕入れ価格が1~2万円なのに、バイヤーは国内で50万円とか100万円とかの値段で販売してきた。飛行機の往復チケット代を差し引いても利益が出ます。有罪になって罰金50万円を払っても利益が残るなんて、こんな法律おかしいですよ。なんの抑止力にもなっていません」

「たとえば、このヘサキリクガメは国内では2頭700万円で販売されていたんです。スローロリスの密売犯は2年間で1000万円も売上げていたんですよ。ほかの詐欺などと比べても遜色のない大きな事件じゃないですか!」

Photo by iStock

私はこう思っています。生き物にかかわる不正事件は、凶悪犯罪と比べたら「たいした事件ではない」のかもしれません。それでも、けっして許してはいけない犯罪です。わかりやすい「被害者」がいないケースも確かにありますが、それにしても罰金50万円で済まされるようなものではないでしょう。

 

2013年6月に「種の保存法」改正に関する閣議決定がなされた直後、ささやかな打ち上げの席で、環境省自然環境局野生生物課長からこんな話がありました。

「これまでの一連の事件で聞いた話が、改正を求めて国会議員に説明する際に、非常に役立ちました」

私は長い間諦めずに訴えを続けてきましたが、それがようやく報われたと思いました。「これまで、いろんな事案に取り組み、解決してくださってありがとうございました」と課長から挨拶があったときには、「警察官冥利に尽きる」と実感したものです。