毎年百万円を投資に回せば、30年後に億万長者になれるかもしれない

寿命100年時代のマネーシフト②
加谷 珪一 プロフィール

パソコン上で一定の確率分布で乱数を発生させ、何千回も試行を繰り返すというモンテカルロ法という手法を用い、30年後の資産分布を推定した。

結果は、6%の利回りで投資を続けた場合の金額である8300万円を超える確率は30%ほどになった。

また、何もしないで貯蓄だけを続けた場合の金額である3000万円を超える確率ということになると、こちらは70%に達する。一方、3000万円を下回ってしまう人も30%ほど出てくる結果となった。

整理すると、約3分の1の人が億近い資産を作り、3分の1の人は貯金するよりも資産を増やしている。そして残りの3分の1の人は、残念ながら貯金するよりも金額を減らしてしまっている。

3分の2の確率で資産を増やすことができ、しかも3分の1は億近い資産となる一方、3分の1は元本割れとなる。この現実をどう解釈するのかが、まさに投資の醍醐味である。

チャンスが大きいと感じる人はぜひ投資に取り組んで欲しいし、逆に怖いと思うのであれば、あまり欲は出さずにコツコツと銀行預金を続けるのがよいだろう。最終的に投資を行うかどうかは個人の価値観次第である。

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資産形成で大事な2つのポイント

上記はあくまでシミュレーションだが、現実はどうだったのだろうか。1985年から2015年まで毎年100万円ずつ株式投資を積み重ねたケースについて検証を行った。

実際に投資を行う場合、日本株一本に絞るのはリスク管理上、好ましくないことから、公的年金を参考に資産の分散を行ってみた。ここでは日本株(TOPIX)と米国株(S&P500)に分散投資し、ヘッジとして金を購入したケースを想定している。

公的年金は金は保有しておらず、その代わり債券でリスク・ヘッジをしているが、個人の場合、債券投資は割に合わないので、株式と金のみの構成とした。資産構成の比率は日本株が50%、米国株が30%、金が20%。毎年100万円ずつ追加投資を行い、株式からの配当はすべて再投資に回したと仮定する。配当の税金は考慮していない。

1985年から現在までということになると、80年代のバブル経済とその崩壊、2000年のITバブルとその崩壊、そしてリーマンンショックなど、あらゆる山と谷を経験することになる。

株式などに投資せず、銀行の定期預金だけに頼った場合、30年後の2015年には利子を加えると約3400万円になっている。利子がない場合と比較すると300万円のプラスである。もっとも1980年代は数%の利子がついていたのでトータルで300万円も利子がもらえたが、今後は難しいかもしれない。

 

一方、銀行に頼らず、株式投資を続けた場合の資産残高は、バブル崩壊後に多少、銀行預金を下回ったものの、時間が経つにつれて残高は銀行預金を上回った。

最終的な金額は8400万円となり、これは銀行預金だけに頼った場合の2.5倍である。先ほどのシミュレーションでは6%利回りで得られる金額(8300万円)を超える確率は3割と説明したが、現実はちょうど同じような金額に落ち着いていたのだ。

注目すべきなのは、バブル崩壊やリーマンンショックにおける資産残高の推移である。バブル崩壊では、残念ながら一時期、銀行預金を下回ったが、ITバブル崩壊やリーマンンショックでは銀行預金を下回らなかった。これは過去の利益の蓄積が大きいことに加え、金という代替資産がうまく損失をカバーしたからである。

長期的に株式に対して積立形式で投資を続けることは、資産形成において重要な役割を果たすことがお分かりいだけるだろう。大事なことは、日本株だけに頼らず、外国株も含めたポートフォリオを組むことと、長期で投資に取り組むことの2点である。