清宮幸太郎の未来を、プロ野球OB30人に聞いてみた

「3割30本打てる」が20人、その根拠は
週刊現代 プロフィール

左バッターがぶち当たる壁

こうした大絶賛の声がある一方、プロで活躍するためには「もう一皮剥ける必要がある」と指摘するOBもいた。

とりわけ懸念の声が多く聞かれたのは、木製バットへの適応力だ。

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現役時代、切れ味するどいシュートを武器に通算165勝を挙げた西本聖氏が言う。

「金属バットの場合、人並み外れたパワーがあれば、打ち方が多少悪くても飛んでいきますからね。実際、107本の最高記録を作った選手(山本大貴・JR西日本)も、社会人に進んで伸び悩んだ。高校時代の本塁打数はプロでの活躍には直結しないと考えるべき」

元阪神監督の岡田彰布氏も続ける。

「彼は遠心力を利かせて低めのボールをすくい上げ、スタンドに運ぶのが得意なタイプ。ああいう打ち方は金属バットと相性が良いので、フォームが金属バット用に『最適化』されている印象がある。

練習時には木製のバットを試しているようですが、実戦で使いこなせるようになるまでには、相当時間がかかるはず」

近鉄の中継ぎエースとして活躍した佐野慈紀氏は、プロ入り後の清宮がまず最初に直面するであろう壁は「左投手の克服」だと語る。

「昨年の秋季東京都大会、清宮は日大三高のサウスポー(櫻井周斗・当時2年)に手も足も出ずに5打席連続三振を喫しましたが、プロで待ち受けている左投手の実力は彼の比ではない。モノが違うんです。抜群に球が速いか、キレのある変化球を持つ逸材ばかり。

筒香嘉智(DeNA)やT-岡田(オリックス)といった、高卒としては規格外のパワーを認められながら殻を破るのに時間がかかった左バッターたちも、そろってサウスポーの壁に苦しんできました」

 

また、早実OBであり元ヤクルトの荒木大輔氏は、守備の観点から「まだまだ成長が足りない」と後輩に発破をかける。

「これだけ注目されているからといって、プロに入ってすぐに出番があるとは思わないほうがいい。いま彼が守っている一塁は、強打者がひしめくポジション。仮に、出場機会を与えてもらえたとしても結果が出なければ代わりはいくらでもいる。

一塁ではダメとなって、例えば外野に挑戦となれば、それだけまた習熟に時間がかかります。

個人的には、3割30本を目指すだけの素材だとは思う。ただ、1年とか2年という短い期間で結果が出せるほど甘い世界ではない。長い目で見てあげたいと思います」

いま、日本中の視線が18歳の背番号「3」に注がれている。

「週刊現代」2017年8月5日号より