2017年上半期のIPOマーケットを総括して見えてきたこと

バリエーションは3年ぶり上昇も…
田中 博文 プロフィール

ファイナンス総額は?

公募・売出を含むファイナンス総額(OAは含まず)ですが、10億円未満が昨年上期の16社から21社に増加し、一方で10~20億円が17社から8社と増加しました。この20億円までで29社となり全体の74%になります。一番小さいのはフュージョンの1億8200万円(公募1億3700万円、売出 4500万円)で、一番大きいのは、スシローグローバルホールディングスの 688億円(すべて売出)でした。

次にファイナンス総額と同じくらい重要で、時価総額の何%をマーケットに放出するかという指標のオファリングレシオ「(公募数+売出数)÷発行済株式総数(公募含む)」ですが、これは、昨年上期平均が22.3%、今年上期平均が 27.7%でした。要はIPO時に約4分の1のファイナンスを行っているということになります。

これはマーケット環境に関係なく、従来からこの程度の比率になっていますが、グラフで見ると10%未満が8社から2社と大幅に減少しています。

 

これはおそらく、マーケットの需要が強く、上期のバリュエーションが上昇傾向となっているため、「ファイナンスを少し多めにしておこう」という発行体、主幹事の意図があるものと思われます。

今回一番小さいのは、再生可能エネルギー発電事業、再生可能エネルギー開発、運営事業のレノバの6.6%でした。一番大きかったのは、 コミック配信サービス「マンガの王国」の運営等のビーグリーの79.9%です、そのほとんどがファンドの売出でした。

通常ファンドの江グジット案件になるとオファリングレシオが大きくなり、マーケットで消化出来ず、公開価格割れになる場合が多いのですが、本件も公開価格1,880円が初値1,881円とほぼ同額となりました。

さて、全体としては、上場社数、上場市場などは、昨年上期と大きな変化はありません。一方で今年は日経平均が再度2万円を超えるなど、株式市場全体の堅調さにも影響を受け、PER倍率は昨年上期よりも高く、また騰落率も上昇したことから、IPO市場にとっては、比較的安定していたと言えます。

ただし、ここまでIPO市場の牽引役を担ってきた安倍政権に不安定さが出てきたことから、下期は若干不透明な部分も出てきそうです。