市場移転決定でも「豊洲エリア」がもう人気を取り戻せない明確な理由

 マンション市場の縮図がここにある
榊 淳司 プロフィール

人気はいまが頂点だろう

ともあれ、マスコミ総出の大規模なディスカウントキャンペーンが行われた事実は、もはや覆せない。

2018年の秋までという市場移転が、最新の発表通りに進むかどうかは未知数なので、これまでほどではないにせよ、関連する報道は続くだろう。人びとの記憶がすっかり薄らぐまでにあと数年はかかると思われる。移転が実現しても、そこがたちまち人気の観光スポットになると考えるのは、楽観的に過ぎる。

2020年の東京オリンピックでは、同じ湾岸部でも、競技会場や関連施設が設けられるのは豊洲以外のエリアとなっている。豊洲はその隣接エリアなので、それなりに露出はあるだろうが、バレーボールやテニス、体操の会場が集中する対岸の有明エリアとは比べるべくもない。

そして、東京五輪が終わるころ、人びとは新市場の騒動を忘れ始めているに違いない。

 

しかし、そのころから東京はじめ首都圏では、住宅の余剰感が高まってくるだろう。いまでも供給過剰と思われるのに、新築マンションの供給はややペースを落としながらこれからも続く。豊洲や有明といった江東区の湾岸エリアでも、総計2000戸以上の開発予定がある。

新築マンションは大量の完成在庫を抱えて長期販売、中古マンションはいますでにそうなっているように、売り出し物件は増加してもなかなか成約しない。そうやって市場の停滞が深まっていく、といった状況が推測できる。

ここまで述べたディスカウントキャンペーンの悪影響、新築・中古合わせての供給過剰を考えると、豊洲エリアがかつての人気を取り戻し、マンションの資産価値が切り上がっていく風景がふたたび見られる可能性はほとんどない。

市場移転決定という明るい話題が出ているいまは、あとから考えれば「まだよかった時代」だったのだ、と気づく日が、そう遠くなくやってくるだろう。

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