10年後には、日本の「家電量販店」は消滅しているかもしれない

「ビッグ3」の業態変化が示す未来
加谷 珪一 プロフィール

家電に代わる事業へ

ヤマダ電機が、住宅や不動産への参入を本格的に検討し始めたのは2010年頃のことである。ヤマダ電機は、家電量販店の中では常に先頭を走ってきた企業だが、高齢化や人口減少という消費構造の変化に直面し、売上高の減少に悩まされてきた。

2011年には2兆1500億円の売上高を誇っていたが、2017年3月期の売上高は1兆5630億円にまで減少した。利益率の高い商品の集中販売やコスト削減で何とか利益は維持してきたが、このままでは縮小均衡を余儀なくされてしまう。

同社が家電に代わる今後の成長の柱と位置付けたのが住宅関連事業である。住宅の建設やリフォームには家電が関係するので、ヤマダ電機の強力な仕入れルートやノウハウを活用すれば、理屈上、住設機器の仕入れにおいても同様の効果を発揮することが可能となる。

ただ住宅と家電では製品サイクルや販売方法がまるで違っている。量販店でのノウハウしか持っていなかった同社は、関連企業の買収からスタートした。

2011年に中堅住宅メーカーのエス・バイ・エル(現ヤマダ・エスバイエルホーム)を、2012年には住設機器メーカーのハウステックホールディングス(現ハウステック)を買収し住宅事業のノウハウを蓄積した。

2013年には新会社として、注文住宅メーカーのヤマダ・ウッドハウスを設立。同年末には、全国の不動産会社を対象に、パートナー企業の募集を開始し、総合的な不動産サービスに乗り出す準備を整えた。

一連の取り組みが、同社グループの業績にどのように貢献するのかは、まだ何とも言えないが、業界トップのヤマダが家電一辺倒という方向性に見切りを付け、住宅・不動産にシフトしていくのはほぼ確実といえる。

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一方ビックカメラは…

一方、従来の家電量販店の路線をとことん追求しようとしているのがビックカメラである。同社の売上高は約7800億円(コジマ含む)とヤマダ電機の半分となっている。おかげで、ヤマダと比較すると市場縮小の影響は小さいが、それでも売上高の伸び悩みに直面しているのは同じだ。

同社はパソコン専門店だったソフマップを2010年に完全子会社化したが、秋葉原にあったソフマップ旗艦店の営業を今年5月で終了。6月からは「ビックカメラAKIBA」としてリニューアル営業を開始した。残りの旧ソフマップ店舗についても、あらたに「AKIBAビックマップ」というブランド名で店舗運営を行っていく。

 

旧ソフマップ時代には、著名な作曲・作詞家に依頼して制作した独特のテーマソングが売りだったが、今回、AKIBAビックマップを立ち上げるにあたり、ビックカメラはツイッターでテーマソングを募集。ビックカメラのテーマソングのAKIBAバージョンを作るなど宣伝にも力を入れた。

ビックカメラAKIBAを含むAKIBAビックマップは、最新家電に加え、アニメやアイドルグッズなどサブカルチャー系に特化した専門店という位置付けになっており、店舗ごとに取扱商品が分かれているのが特徴だ。

旗艦店のビックカメラAKIBAでは、白物からスマホ、パソコン、日用品まで幅広い商品を揃えている。一方、それ以外の旧ソフマップ店舗では、アップル関連製品、パソコン、中古品、フィギアなど、店舗ごとに商品を絞ったラインナップとした。

これは近隣店舗と一体となりエリアでサービスを提供するという考え方であり、秋葉原という土地に特徴的な店舗戦略と解釈することができる。

ビックカメラはソフトマップという資産を生かす必要に迫られており、もしかすると消極的な選択だったのかもしれないが、結果的にエリア特化型の量販店を目指す形になっている。