急拡大する「発達障害ビジネス」その功と罪

はたして、それは適切ですか?
平岩 幹男 プロフィール

成人の発達障害における問題

成人で発達障害を抱えた人も推定では100万人とも言われているが、医療、福祉、教育などでの支援は極めて乏しい状況にある。

相談機関が少ないためにうつ病やパニック障害などの二次障害や、就労機会が得られないなどの困難に直面する場合もある。就労支援、生活上のトレーニングやカウンセリングが欠かせないにも関わらず、そうした社会資源が極めて乏しい状況である。

これらの充実は急を要する課題である。

ビジネスの面では質的には評価しにくい高額なスピリチュアル(自己啓発セミナーなど)に勧誘され、その結果として経済的な損失を繰り返している場合もある。またクレジットカードなどの多重債務にも陥りやすいことが、ビジネスに利用される場合もある。

医療における問題

医療では保険診療と自由診療に分かれるが、自由診療(自費)については質も価格も規制対象外である。

現在の健康保険制度では発達障害診療の診療報酬が低く設定されている(たとえば子どものASDであれば10分で診察しても1時間かけても報酬は基本的に同じ、実際には初診で丁寧に見れば40分以上はかかる)こともあり、保険診療よりは診療費の請求は高額になるが、自費での支払いとなる自由診療として行っている医療機関も存在する。

また特に自由診療の場合には医療という枠組みの中で行っている限り、科学的根拠に乏しい治療も容認されているようである。

 

次々出てくる補完代替療法

補完代替療法(通常の医学的あるいは標準化された治療と異なる療法)も数多く行われており、いわばビジネスの温床でもある。水銀除去のキレート療法は現在でもインターネットでは出てくるが、医学的には副作用が多いこともあって国際的にも否定されている。そのほかにも多くの食事療法(特定の食品を摂取する、特定の食品を除去する)なども行われている。

医療における標準的な治療や療育においては、それなりの根拠を有することが必須であり、それは公表された論文等に裏付けられていることが必要である。

しかし多くの補完代替療法における効果は「有効であった」という感想や印象に基づくものが多く、現時点で推奨すべきものはない。しかし雨後のタケノコのように次々にこうした療法は出現してくる。