急拡大する「発達障害ビジネス」その功と罪

はたして、それは適切ですか?
平岩 幹男 プロフィール

なぜビジネスが出てくるのか

一方で発達障害の周知が進むにつれ、発達障害を対象としたビジネスが出てくることも必然の流れであり(これは介護保険のこれまでの流れと比較することができる)、特に児童福祉法改正による2012年からのデイサービスの規制緩和や就労支援サービスなどの拡充が発達障害ビジネスと結びつくことも見られるようになった。

発達障害に対するビジネスが出てきている理由としては以下のものが主である。

1. 発達障害という言葉は誰もが知っているかもしれないがその解釈が一定ではない。
2. 発達障害は明確な原因がなく、科学的根拠によって確立された治療法が少ない。
3. 発達障害の診断は適切になされているとは限らず、しばしば過小あるいは過大である。
4. 当事者や保護者にとっては抱えている社会的困難から藁をもつかみたくなる。
5. そもそも医療や公的支援であってもビジネスであっても質の評価が容易ではない。

 

デイサービスは未就学児を対象とした児童発達支援サービスと小学生~高校生を対象とした放課後等デイサービスに分けることができる。公的・半公的な施設と民間による施設に分かれる。

規制緩和以降、その数は急増し、自治体への届出が必要であるもののあまりの急増に新規受付を中止している自治体もあるし、厚生労働省においても現状はその事業内容からも容認できないものがあるとして規制に乗り出している(30年度以降に規制が強化される)。

デイサービスは、通所受給者証(診断に基づいて市区町村で発行される、おおむね1割負担であるが1ヵ月の支払い上限額がある)を用いて小集団で行われており、個別の発達評価を行うことはできても個別にプログラムを設定して介入することは困難な状況にある。

急増している児童発達支援サービスにおいてもこれは同様であり、個別の支援計画を立てて実行することのできる支援サービスはまだまだ少ない。

ここでの最大の問題はそれらのサービスの質が保護者にはわからないことであり、同じように通所受給者証を使っていたとしても、その質は子どものその後の発達に大きく影響する可能性がある。

まずは療育の開始にあたって、発達検査だけではなく、どのように個別の支援計画が立てられているのかを理解し、それが6ヵ月後など一定期間で見直されているかどうかを把握する必要がある。それが出来ていない場合には、サービスの質は担保されていない可能性がある。

首都圏では極めて多くの子どもたちをチェーン化した施設で療育を行っているところもある。その中には受給者証を使用した療育としない自費療育を併用あるいは受給者証療育が定員いっぱいなのでとりあえず自費療育を勧めるなどの場合には、適切な療育を行うだけのスタッフが充足されていない可能性も考える必要がある。

学童~高校生では先述の放課後等デイサービス(以下放デイ)がまず挙げられる。発達支援サービスと同様に基本的には受給者証が使用できる。やはり余りにも数が多く、保護者には質がわからないという問題がある。放デイは主として民間の事業者によって運営されている。

自費で療育を行う場合には高額になる場合もある。一方、米国などできちんとした技術を身に付け、それに基づくライセンスなどを保有して療育を行っている機関も出てきてはいるが、まだまだ数が少なく、とても需要には追いついていない。

また質についてはデイサービス同様、外からは見えにくいことや一定の国家資格が必要というものではないので、質の低い、しかし高額なサービスもある。