――日本企業のガバナンスで最大の問題は何でしょうか。例えば株式の持ち合いは全面禁止すべきですか?
村上: できることなら株式持ち合いはやめさせたほうがいい。経営者は持ち合い株の保有理由をいろいろ挙げているけれども、実は保身のために続けているケースが多い。とはいっても法的に持ち合いを禁止することは難しい。政府にできることは限られている。だから株主が追及することで持ち合い慣行をやめさせていくべきです。
少なくとも一定数以上の持ち合い株についてはきちんと理由を書かせたほうがいい。なぜ持っているのか、どれくらいの利回りを得ているのか、持ち合いを続けなければ相手企業と取引ができないのか――こういうことについて説明するということ。
(2015年に金融庁と東京証券取引所が導入した)コーポレートガバナンス・コードには持ち合い株について企業側に説明責任があると書いてある。だけどそこには強制力がない。
――旧村上ファンドは日本ではアクティビストファンド第一号と見なしていいですか?
村上: 日本では外資系も含めて村上ファンド以前にはアクティビストファンドはなかった。だから第一号です。
――日本で「元祖ハゲタカファンド」と呼ばれたのは米投資ファンドのリップルウッドです。1999年に旧長期信用銀行(現新生銀行)を買収して猛烈なバッシングに見舞われました。
村上: アクティビストは上場企業のみが対象です。リップルウッドはプライベートエクイティファンドだから上場企業はやらない。米スティール・パートナーズもアクティビストファンドとして日本に進出したけれども、日本での事業を始めるときに私のところに何度も相談に来ていました。