結局、ロシアは北朝鮮をどうしたいのか?

日本人が知らない「プーチンの頭の中」
北野 幸伯 プロフィール

安全保障面を「ロシア側」から見ると、さらに危機感は深まる。

今ではほとんど忘れられてしまったが、冷戦時代、欧州には2つの軍事ブロックが存在していた。米国を中心とするNATOと、ソ連を中心とするワルシャワ条約機構だ。

当時、「米国・西欧」と「ソ連・東欧」は、きわどい均衡を保ちながら、対峙していた。西と東の境界は、東西に分断されたドイツだった。

しかし、1985年、ゴルバチョフがソ連の書記長になると、状況は変わっていく。

1989年、東西分断の象徴であった「ベルリンの壁」が崩壊。
1990年、東西ドイツが統一された。

これは当然、ソ連の許可なしには、成立し得なかった。

ゴルバチョフは、ドイツ統一を容認するにあたって、米国にある条件を出した。それは、「NATOを東方に拡大しないこと」である。

米国は、この提案を快諾。ゴルバチョフは満足し、翌1991年7月、ワルシャワ条約機構は解散となる。

握手するブッシュ大統領とゴルバチョフ書記長。1991年7月、モスクワにて〔PHOTO〕gettyimages

ところが、いざソ連が崩壊すると、米国はあっさりと約束を破ってしまった。NATOは1999年、東欧のポーランド、ハンガリー、チェコを加盟させた。

ロシアにとって、東欧は、かつての「実質支配地域」である。

さらに、NATOは2004年、東欧4か国と、バルト3国を加盟させた。

ロシアとって、旧ソ連のバルト3国がNATOに加わった衝撃は大きい。ロシアの支配層からみると、「かつて自国の一部だった地域が敵の手に落ちた」という認識だろう。

(ロシア側からみた)米国の「侵略」は、とどまるところを知らない。現在も、旧ソ連圏の隣国、ウクライナ、モルドバ、ジョージアなどをNATOに加えようと画策している。

このように、米国はソ連崩壊後、「反ロシア軍事ブロック」であるNATOの拡大を続けた。広大な国土の西側で、ロシアは現在、29ヵ国からなる「反ロシア軍事ブロック」と対峙しているのだ。

 

さて、ここまでの話に関連する、プーチンの言葉を紹介しよう(引用は、2014年3月18日の演説から)。

当時、何があったか? 2014年2月、ウクライナで革命があり、親欧米反ロ政権が誕生した。同年3月、ロシアはクリミアを併合し、世界を驚かせていた。