# 警察 # 汚職

汚職を追った「はみ出し者」二課刑事たち ぶつかった警察組織の変貌

ドラマ化決定『石つぶて』を語り尽くす
清武 英利 プロフィール

「組織の論理に盲従しない」姿を描きたい

――ノンフィクション作品の中には、会話が少ない一方、歴史的な事実や数字を積み上げて、議論を組み立てるものもありますよね。それでもあえて、難しい「会話の復元」を多用するのは、なぜなんでしょうか。

 

清武 結局、私が関心を持って、書かせてもらいたいと思う題材が、「人間」だからなんだろうと思います。たとえば私が書いた『しんがり』は、山一證券の破綻後に、その清算事業に取り組んだ人々の物語ですが、彼らはいわば貧乏くじを引いたような人たちです。けれども、それは誰かがやらねばならない仕事だった。

では、「しんがり」を担った人たちはどんな人間たちだったのかと言えば、それは組織の中では一風変わった、「はみ出し者」の社員たちだったんです。

先ほども言ったように、私は「はみ出し者を探そう」などといって取材をするわけではないんですが、社会の中で起こる出来事を「なぜだろう」と思って追いかけるうちに、その背後で人知れず力をふるっている、組織の論理に盲従しない、自分なりの筋を通そうとする人々に出会ってきました。

個性的な人々の姿を読者に伝えるためには、やはり彼らが交した会話や、その人にしか思いつかないであろう「言葉」をすくいとることが重要です。だからこそ、会話の復元は欠かせないものだと私は感じているんです。ただ、その分、取材は本当に大変なので、どうしても時間がかかってしまうのですが……。

日本社会には閉塞感が漂っている、と言われて久しいですが、実際、政治の場にしろ企業内部にしろ、およそあらゆる方面で、上の顔色をうかがい、忖度し、組織の中でいかに失点をしないかを重視するような風潮が蔓延していると思います。

そんな中でも、「このままでいいのか」と内心感じているという人は、たくさんいるんです。「はみ出し者」たちの、人には知られない活躍を描くことで、そういう人たちを勇気づけることができるとしたら、書き手としてこの上ないよろこびです。

石つぶて書影ドラマ化も決定した最新刊『石つぶて』