「選手を絶対に叱らない」野球指導者が教える「勝利とは何か」

やっぱり、暴力は答えではなかった
元永 知宏

野球人生は長いのだから

100年も続く高校野球の仕組みを変えることは難しい。しかし、そこでたくましく生きのびる選手の下地をつくることはできる。

「高校時代にチームとしての結果が出なかったとしても、十分な実績を残せなかったとしても、あきらめずに、めげずに野球を続けてほしい。その先に可能性はあるはずです。高校野球だけが野球ではありません。

 

『こうやってオレは野球人生を歩んでいく』という目標を持って、長い目で野球に打ち込んでほしい。たとえ野球で芽が出なかったとしても、失敗してもチャレンジすること、困難を克服することの大切さを知れば人生に役に立つと思います。そこに価値があるのではないでしょうか」

ドミニカにはドミニカの、日本には日本の事情があり、やり方がある。一方で有効なものがそのまま通用するとは限らない。しかし、もしいい方法があるのならば日本での取り入れない手はない。

選手にネガティブなことを言わない。
指導者は話すことよりも聞くことを心がける。
選手がチャレンジするように黙って見守り、タイミングを見て背中を押す。

これらは、今日から誰にでもできる。親子も間でも、会社の上司と部下の間でも。
先を見据えて人を育てる——これは野球の現場だけでなく、広くビジネスでも必要なことだ。

元永知宏(もとなが・ともひろ)
1968年、愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。『パ・リーグを生きた男 悲運の闘将 西本幸雄』『本田宗一郎 夢語録』(ぴあ)、『PL学園OBはなぜプロ野球で成功するのか?』(新潮文庫)などを編集・執筆した。著書に『期待はずれのドラフト1位——逆境からのそれぞれのリベンジ』『敗北を力に!——甲子園の敗者たち』(岩波ジュニア新書)がある。