薬物依存症治療のプロは清原和博のいまをこう見ている

2つの不安材料
原田 隆之 プロフィール

その先にある未来

逮捕されたり、生活が破綻したりすると、それを契機にして薬とはきっぱりと手を切ろうと思うのは自然なことである。しかし、言うまでもなく、難しいのはそのモチベーションを維持し、断薬を継続することだ。

ヘビースモーカーだったマーク・トゥエインは、「禁煙なんて簡単だ。これまで100回以上禁煙した」と言ったというが、まさにこのことが「禁煙の難しさ」を端的に表している。やめることは簡単だが、やめ続けることはものすごく難しいということである。清原氏は、まだその入り口に立ったばかりである。

治療の先の未来を確かなものにするために、何かアドバイスできるとしたら、私は次の2つを提案したい。

〔PHOTO〕iStock

1つは、何か「自信を高められること」を見つけて、継続してほしいということだ。覚せい剤乱用、離婚、逮捕など一連の出来事のなかで、おそらく自分自身やこれまで自分が築き上げてきたものへの自信が大きく損なわれているだろう。

もう一度誇れる自分を取り戻していってほしい。そのために、小さなことでもいいので、毎日継続することによって、自信につながるようなことを見つけて実践してほしい。

2つ目は、「人生の目標」の再設定にとりかかってほしい。1ヵ月後、半年後、1年後、5年後、そして10年後にどのような自分になっていたいかという「人生の目標」をできるだけ具体的に設定し、書き留めてほしい。

具体的な目標があると、それに向けて具体的な行動が取れるようになる。覚せい剤をやめることは、その手段の1つでしかない。大事なことは、薬をやめてどんな人生を送りたいかということである。

 

私はこれまで数多くの薬物依存症患者と会ってきたし、今も彼らの治療を続けている。その中で、常に心に留めていることは、「どんな人でも必ず立ち直れる」という信念である。

こちらが疑念を抱いていたり、あきらめていたりすると、治る人も治らなくなってしまう。どんなに依存が進んでいても、モチベーションが低くても、反抗的であっても、「必ず立ち直れる」と信じないと、治療は始まらない。

私は「清原和博は必ず立ち直る」と信じている。