MBAより価値ある「会員制」 松岡正剛が
私塾で若手リーダーに教えていること 

ハイパーコーポレートユニバーシティ「AIDA」 
セオリー

 両社から選抜された40代を中心とするメンバーが運営委員会を作り、松岡氏のアドバイスの下、プログラムの骨子を作り上げていった。日本を代表する大企業と戦後ベンチャーの雄という組み合わせも異色だが、講義の形も極めてユニークなものだ。

 半年で全6講。月1回、土曜の午後に行われる講義は夜の懇親会を含め10時間近くに及ぶ。初回と最終回は松岡氏のソロ講義で、残り4回は各界からゲストスピーカーを迎える。

 ゲスト陣の豪華さは、松岡氏の幅広い人脈ゆえ。うち一回は泊まりがけの合宿研修も行う。講義を受けるメンバーは各社の幹部候補者、計25人。参加企業は現在、みずほコーポレート銀行、三井不動産、オリエンタルランド、NECなど7社に拡大。さらに、前職などの人脈を通じ、個人での参加申し込みも増えている。

 通しテーマは「AIDA(間)」。世界と日本、神と仏、心と体、仕事と遊びなど、毎回設定されるテーマの内容に沿って、開催場所も変わっていくという。

日本舞踊を稽古し、世界的建築家に学び、高野山で勤行も

 2期目から参加しているリクルートコンピタンスマネジメント支援室の木村秀之氏はいう。

「初めて参加したときの会場が、根岸の西蔵院でした。いきなりお寺で、いったい何をするのだろうかと驚きました。講義では密教や奈良時代の人物など、知っていたつもりでも初めて聞く話ばかり。以後、会場もゲストも毎回、予想をし得ないものでした」

 あるときは、全員和装での集合が指示された。小石川後楽園で儒教の講義を受けた後、下町の旅館に移動すると、日本近世文化研究家の田中優子氏がゲスト。その後、日本舞踊家の花柳千寿文氏に全員が稽古をつけてもらった。また、あるときは「家の写真を撮ってこい」と課題が出た。持って行くとゲストは建築家の隈研吾氏。

 「みんな同じような写真で面白くない」と叱られることに。高野山で行われた合宿では、25人のために高野山真言宗管長から講話があり、作曲家で尺八演奏家の中村明一氏が目の前で演奏。翌日は朝5時起きで勤行も経験した。また、「川柳を作ってくる」「わびとさびを感じるものを撮影してくる」といった課題が出されたことも。木村氏は続ける。

「一見ビジネスとはまったく関係がないように思えるんですが、そうではない。答えがはっきりと明示されるわけではありません。でも、それは確かに何かを暗示している。だから体験していない人に、ここで学ぶことの凄さ、深さを伝えるのは難しいんですが」

グローバリズムの中で自らを語る言葉を失った日本のリーダーたち

「今は、『間』がわからなくなっている時代なんです」と松岡氏はいう。

「例えば、グローバルとローカルの間。世界と日本の間。その間をどのように結ぶべきなのか、わからなくなってしまった。これが日本を混乱させているのです」

 松岡氏は、この20年間、日本の企業社会は最悪の状態にあった、と見る。