知ってましたか? 歌舞伎界・梨園の「格付けと格差」

いちばん地位が高い「梨園の妻」は誰?
週刊現代 プロフィール

若手が抜擢される8月の納涼歌舞伎を除いて、トップ5以外に歌舞伎座の座頭が務まるのは、いまは市川海老蔵と「澤瀉屋」の市川猿之助(41歳)ぐらいだという。

市川猿之助家自体は家の格としては高くない。

「澤瀉屋は市川宗家の弟子筋で、本家筋ではありません。しかも、かつて二代目市川段四郎が市川宗家の十八番だった『勧進帳』を断りなく演じたことで宗家から破門になったという歴史があります」(前出・関係者)

しかし、今はそうも言っていられないようで。

「近代はやはり稼ぎ頭が偉いんです。お客さんが呼べる家は栄えていきます。つまり一門のなかにスターが誕生するかどうか。それがいまは海老蔵であり、猿之助であるわけです」(喜熨斗氏)

市川猿之助Photo by GettyImages

市川中車の評価は?

海老蔵が座頭を務める歌舞伎座7月公演の夜の部は、チケット発売開始の初日に売り切れた。

最後の発表となった'04年の長者番付で歌舞伎界でトップだったのは海老蔵で、推定年収1億4100万円(納税額4970万円)。次いで幸四郎が推定年収1億1800万円、玉三郎が推定年収8400万円だった。

まさに人気と実力を兼ね備えた3人であり、この順位は現在も大きくは揺るがないだろう。だが、歌舞伎公演以外の収入が大きい3人でもある。本業だけではそれほど儲からない。副業に精を出さなければ、千両役者(年収1億円)にはなれないのかもしれない。

歌舞伎座公演1ヵ月のギャラは主役級で500万前後~800万円程度と推測されるが、それは格によって決まるという。

「やっぱり実力がある人、切符が売れる人に松竹が出演料を高く払うのは当然だと思いますが、海老蔵さんがいくらお客さんを呼べるといっても、菊五郎さんや吉右衛門さん、仁左衛門さんのほうが高いと思います」(歌舞伎エッセイスト・関容子氏)

若手では海老蔵が断トツの格付けだ。同世代ではだいぶ離れて、名門の御曹司である、幸四郎の長男・市川染五郎(44歳)や、菊五郎の長男・尾上菊之助(39歳)の名前が挙がる。

海老蔵のように同じくテレビや舞台で人気がある中村獅童(44歳)や片岡愛之助(45歳)の格は、どの位置なのだろうか。

「彼らは海老蔵とは真逆で、歌舞伎界では格下の存在だからこそ、それ以外の場で活路を見出したのです。獅童は、初代中村獅童である父親が歌舞伎役者を廃業しており、後ろ盾がいない。彼は、仲の良い海老蔵が座頭を務めるときしか歌舞伎座には呼ばれません。

離婚した竹内結子との間には長男がいましたが、親権は手放した。これは歌舞伎の名家ならば考えられないことです。

愛之助も御曹司ではなく、一般家庭の出身。二代目片岡秀太郎(75歳)の養子で、名前の格は低い。明治座などで座頭はやれますが、歌舞伎座では良い役は回ってこない。

しかし、人気と実力はあるので、テレビや舞台に出演するという悪循環に陥っているように思えます。大名跡『片岡仁左衛門』を継ぐ可能性もありますが、仁左衛門には長男の片岡孝太郎(49歳)がおり、孫である片岡千之助(17歳)も将来を嘱望されているため、難しい立場です」(前出・関係者)

 

一方で、市川中車(香川照之・51歳)の未来は明るいという。

「中車は『どんどん上手くなっている』と業界で評判です。九代目でそれなりに格式の高い名跡であり、良い役も与えられて、チケットも売れています。

また息子の市川團子(13歳)はヤンチャなタイプですが、踊りが上手で役者として期待されており、将来、猿之助を継ぐ可能性もあります。

染五郎の長男・松本金太郎(12歳)もルックスや品が良く、松竹はこの二人を未来のスターとして育てるつもりでしょうね」(全国紙文化部記者)