他人事ではない!西武・森慎二コーチ「42歳で急死」の怖すぎる原因

入院後、わずか3日で帰らぬ人に…
週刊現代 プロフィール

「人食いバクテリア」

森コーチの父・茂南美さんは告別式の後、東京スポーツの取材に対し、こう打ち明けている。

〈本人の死因に関しては、毒性の強い溶連菌の感染による敗血症でした。最後に(福岡の病院で)本人と話をしたのは山口から駆けつけていた私だけ。母親とお嫁さんは東京からだったから間に合わなかった。

手術室に入る前、本人は少し手などはむくんでいたけど『行ってくる』と普通に話をしていたぐらい。まさかそれが最後の会話になるとは思わなかった〉

感染症に詳しい、都内にあるナビタスクリニック理事長の久住英二氏が言う。

「溶連菌は、たとえば子供が喉の炎症を起こす原因になります。ごくありふれた菌で、成人の喉や皮膚にも害を生じることなく存在しています。感染すると2~3日間の潜伏期間を経て、発熱やせき、喉の痛みなどの症状が現れます。

健康状態がよければ、血中に入っても白血球が退治してくれますが、菌の威力が強くて、体の中の免疫力が負けてしまった場合、溶連菌が血液中でどんどん増えていく菌血症を起こすことがあるんです。菌の毒素が臓器の働きを妨げるようになると、敗血症と呼ばれる、より重症の状態になり、最終的には多臓器不全に陥ります。

『人食いバクテリア』という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは溶連菌による壊死性筋膜炎という感染症の通称で、ありふれた菌が時に人の命を奪うまでに凶暴化するので、こう呼ばれます。

敗血症も壊死性筋膜炎も、いずれも溶連菌感染症が急速に重症化する劇症型溶連菌感染症と呼ばれるものです。森さんのケースもおそらく、この劇症型溶連菌感染症だと思われます」

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森コーチは検査を受けるために病院に行ってから、わずか3日で死に至った。急速に症状が進行する理由として、何が考えられるのか。

川崎市健康安全研究所企画調整担当部長の三崎貴子氏が分析する。

「劇症型溶連菌感染症だったとするならば、(森コーチの父のコメントで)手術室に入られる前に手がむくんでいたというお話から、壊死性筋膜炎のような深部の組織の感染を起こしていた可能性もあります。

その場合は病状の進行は非常に速く、なかには1時間に数cmの速さで壊死が進行してしまうケースもあるんです。

治療として抗生物質は必須ですが、組織がどんどん腫れてくるので、病状の進行を止めるのが難しい。

見た目がそれほど重症でなくても、腫れている部分の皮膚を切開して壊死した組織を除去したり、壊死した部分を切断する外科的な処置を緊急にしなければ、助からないケースも多いです」

 

劇症型溶連菌感染症は一般的に、どのぐらいの割合で発症するのか。前出の久住氏が続ける。

「患者さんは年間約400人と非常に少ないんです。各都道府県別に換算しても、患者さんは数名ですから、どういう方が、どうしてなりやすいのか、何に気を付けたらこの病気を避けられるのか、ということがわかっていない病気なんです。感染経路もはっきりしていません。

壊死性筋膜炎の初期症状は発熱、だるさといった、風邪によくある症状から始まるケースが多い。

若い健康な男性でも、この『人食いバクテリア』による壊死性の筋膜炎が起こる可能性がありますが、そんな男性ほど、具合が悪くても『いや、これぐらい大丈夫だ』と病院に行かないことはよくある。その間に病気が進行するケースもあります。

手足に赤みをもった痛みが続いたり、傷口が化膿して熱を持ってくるといった症状が出たら、すぐに病院に行くことをすすめます」