トランプの「ツイッター政治」に、ついにアメリカ国民が飽き始めた

「支持する」はわずか13%に…
中岡 望 プロフィール

徹底した個人・メディア攻撃戦術

トランプ大統領のツイートの最大の特徴は、単純なメッセージを繰り返し発信することで、それが誤った情報であっても、フォロワーを納得させてしまうところにある。

もうひとつの特徴は、自分の支持者に対する情報提供ツールとして使っていることだ。支持者が喜びそうな過激な言葉や差別的な言葉を使って喝采を浴びようとする。トランプ大統領の支持者とは、共和党支持者や保守主義者、極右グループである。彼らに向かって愛国心を訴えたり、リベラル派を批判したりする。

 

要するにトランプ大統領はツイッターを、大統領という公的な職務を執行するためではなく、政治目的のために使っているのである。『ニューヨーク・タイムズ』(6月29日)は、2015年の大統領出馬表明以降、トランプ大統領が攻撃を加えた個人や組織の一覧表を掲載している。その対象は実に337に上っている。

また、ウエブ調査会社Survey Monkeyによる世論調査では、共和党支持者の90%がトランプ大統領のツイッターでの発言を信用すると答えている。その理由として、まず「信頼がおける(trustful)」を挙げている。

さらに「面白い(entertaining)」を挙げている。「面白い」という理由が2番目に来ているのは興味深い。フォロアーを楽しませるのはトランプ大統領がテレビのショー番組のホストをした経験から得たスキルであろう。

なおトランプ大統領を批判する人たちは、ツイッターの内容を「威厳がない(undignified)」、「卑劣である(mean)」「不誠実である(dishonest)」と答えているのが対照的である。

さらに多くの場合、ツイッターの内容に関して、「私を信じてください(Believe me)」と書くだけで、客観的な事実を指摘することはない。意図的か偶然かは分からないが、明らかに事実誤認や誤った情報を提供するケースが散見される。

さらに誤りを指摘されても決して謝らないのがトランプ流のやり方である。筆者はトランプ大統領が誤りを謝罪した場面を見たことはない。誤った情報を繰り返すことで、フォロアーを納得させてしまう。

文末で感情的な言葉を頻繁に使うのも特徴の一つである。たとえば、「Bad!」「Terrible!」「Watch!」「Enjoy!」といった単語で、しかも感嘆符をつけて感情に訴える。さらに愛国心に訴えるために、「America」や「Americans」という言葉も頻繁に出てくるのが特徴でもある。

過激な内容や言葉を使ったり、政敵を攻撃したり、差別的な発言をする。トランプ大統領にとって、ツイッターでの情報発信は、大統領選挙での演説と変わらない。大統領になったから自制や抑制するという気持ちは皆無といっていいだろう。

連邦地方裁判所がイスラム国からの入国規制を決めた大統領令に対して差し止め命令を出した時、トランプ大統領は担当判事を「いわゆる判事ごときが(so-called judge)判決を下した」と侮蔑的な表現を使って批判し、法曹界の独立性を踏みにじるものだと批判された。

また、コミーFBI長官を解任した時も同様に無能ゆえに解任したとあからさまに個人攻撃を行っている。相手に反論の余地を与えないのも、トランプ大統領のやり方である。

トランプ大統領の大手メディアに対する攻撃は凄まじい。『ニューヨーク・タイムズ』を「ゴミ・メディア(garbage media)」と呼び、『ワシントン・ポスト』などの新聞や、CNN、ABC、CBSなどのテレビ局を「偽メディア(fake media)」と呼んで批判を加えている。

保守派は以前からアメリカのメディアはリベラル派の影響下にあると批判してきた。またトランプ大統領は、大手メディアに対する国民の不信感が高まっていることを背景に、過激ともいえるほど対決姿勢を露わにしている。

ギャロップの調査(2016年9月)では、メディアを信用できると答えた比率は32%に過ぎなかった。2013年の調査では44%であったが、わずか3年の間に国民のメディアに対する信頼度は大きく低下している。アルトライトと呼ばれる極右グループが「偽情報(fake news)」を流して、リベラルな主要メディアを攻撃し続けたことの影響が出ているのかもしれない。