トランプの「ツイッター政治」に、ついにアメリカ国民が飽き始めた

「支持する」はわずか13%に…
中岡 望 プロフィール

公式発言? 私的発言?

トランプ大統領は、2つのツイッター・アカウントを使って情報を発信している。ひとつは、@realDonaldTrumpであり、もうひとつは@POTUSである。@realDonaldTrumpは個人のツイッターで、2009年3月から始まっている。@POTUSは半公的なもので、大統領に就任した2017年1月から始まっている。

@realDonaldTrumpの7月9日時点でのフォロアーは3552万8507名である。情報発信の累計数は3万5233本で、単純計算すれば毎月400件を超える情報を発信している。大統領就任後だけを見ると、1日平均で約5本の情報を発信している。多い日には10本を超える場合もある。

 

バラク・オバマ前大統領フォロアーの数は8700万人で、トランプ大統領のフォロアーの数をはるかに上回っていたが、影響力ではトランプ大統領のツイッターには及ばない。

その最大の理由は、トランプ大統領のツイッターを主要メディアがこぞって取り上げ、朝のテレビのモーニング・ショーではそのツイ―トが読み上げられさえしていることにある。フォロアーでなくても、トランプ大統領が発信した情報は広く国民に知られることになる。

ちなみに7月9日時点の@POTUSのフォロアーの数は1925万8361人である。

2つのアカウントの使い分けは巧みだ。@realDonaldTrumpは自分自身で書き込みを行っている。トランプ大統領が使っているスマホはサムソンのギャラクシーで、日々の出来事やテレビなどを見ているときに気が向くと書き込んでいる。熟慮することなく、思い付きだ。

@realDonaldTrumpを使う場合、発言は自由に削除できる。だが、@POTUSはスタッフが書き込んでいる場合が多く、書き込まれた内容は削除できず、アーカイブとして残り、最終的には大統領図書館の資料として記録は残される。だからこそ、@realDonaldTrumpは大胆な内容も自由に書き込めるといえる。

つまり、@realDonaldTrumpは個人的なアカウントであり、ホワイトハウス内部のフィルターを通さずに発信される。だからこそトランプ大統領は思い付きや挑発的な発言ができるのである。公式な場での演説の場合、原稿の内容はホワイトハウス内で精査される。だが、外部から見れば、大統領の発言に変わりはない。それだけに大きな影響を及ぼす可能性がある。

いうまでもなくトランプ大統領とメディアの関係は良好とはいえない。大統領は主要メディアを激しく攻撃している。トランプ大統領には、メディアは、自分の伝えたい情報を歪曲して報道しているという思いが強い。

それだけに、トランプ大統領にとってメディアを経由せずに、またメディアのファクト・チェッキングを受けずに国民に直接情報を提供することは大きなメリットがあるといえる。

もっとも、ツイッターは本来双方向のコミュニケーション・ツールであるが、トランプ大統領の場合、大統領が一方的な情報発信を行うだけである。

もちろん、これはホワイトハウス側の論理である。情報を受け取る側の見方は違っている。

政治サイトの『ポリティコ』のマシュー・ナッサバウム記者は「@realDonaldTrumpから発信される情報の大半は公的なコメントとして扱わざるを得ない」と指摘する。さらに同記者は「トランプ大統領は自分のツイートを文字通り、真剣に受け取ってもらいたがっている。ただ、ツイートが発信された後、ホワイトハウスのスタッフや弁護士は混乱を収めることに追われる」と、大統領とホワイトハウスの関係を説明している。

また、ミット・ロムニー元大統領候補のスピーチライターのライアン・ウィリアムズ氏は「話されたものであれ、文書に書かれプレスリリースとして出されたものであれ、ツイッターを通して発信された情報であれ、大統領の言葉は問題となる」と語っている。だからこそ、メディアは常にトランプ大統領がツイッターで発信する言葉に神経を尖らせているのである。