やっぱり「財政再建目標」が間違いである、これだけの理由

なぜ自民党二回生議員は立ち上がったか
藤井 聡

デフレからの脱却を目指して

この提言は本年7月5日、官邸においては萩生田副官房長官に、自民党においては西村総裁特別補佐に手交された。政府、そして与党の中で、この提案が真摯に受け止められ、アベノミクスが真に成功し、デフレから完全に脱却できる果敢な財政政策が展開されることを、心から祈念したい。

ただし、この動きに対しては批判が展開され始めている。例えば、経済ジャーナリストの磯山友幸氏は、この動きを危険視し、PB目標撤廃や増税凍結などもってのほかと論じている(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52144)。氏は、その理由をこう説明している。

〈 国債などの国の借金が1000兆円を超える中で、単年度の赤字をこれ以上出さないことは「当たり前」のことだろう。多額の借金を抱えている家庭が、生活費が必要だからと毎月カードローンでお金を借りていれば、いつかは財政破綻する 〉

この主張がいかに誤ったものであるかは、上記の筆者の主張をご覧頂ければ一目瞭然だろう。政府は家計と違う。企業のようなものなのであり、(今の日本のように)業績がふるわない状況では、投資を中心とした支出拡大で、業績改善を図るほかに生き残る道はないのだ。

 

彼の議論はそれ以外にも、1)増税による景気低迷が如何に税収を減らしているかという事実も、2)自国通貨建ての国債によって完全破綻した国家は歴史上存在しないという事実も、3)財政目標の国際標準も日本政府の「公約」における目標も(PBでなく)「債務対GDP比の引き下げ」であるという事実も、4)債務対GDP比は名目成長率が拡大すれば引き下がるというという事実も、5)名目成長率が向上すれば翌年のPBが改善するという事実も、全て無視されている。

そのうえで、上記のような政府を家計になぞらえたナイーブな批判を展開しているに過ぎないのである(筆者の主張の詳細は、繰り返すが、拙著『プライマリーバランス亡国論』を参照されたい)。

ただしおそらく、こうした誤った認識に基づく批判は、これからも繰り返されることだろう。しかしそうした批判によって、これまで緊縮が続けられ、その結果、景気も財政も悪化しているのは、先に述べた通りだ。

日本がデフレを脱却し、財政を真に改善していくために一番必要なのは、こうした誤解だらけの経済論説に騙されないことなのではないかと、筆者は真剣に感じているのである。