電通事件を強制捜査した「かとく」の恐るべき調査力

~いま、企業が国税より怯える組織とは
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社長が法廷に立たされる

サトレストランシステムズのケースでは、検察は当初、書面審理のみで刑を言い渡す略式命令を請求したが、大阪簡易裁判所は「略式不相当」と判断。

正式な裁判に踏み切り、同社社長を法廷に立たせて釈明させた。コノミヤの事案でも、大阪簡裁は「略式不相当」と判断している。

 

今後、法廷で過重労働の実態が検証されるケースは増えてくるはずだ。

富士通の人事部に勤務し、今は独立して人事コンサルタントの城繁幸氏がこう話す。

「人事担当者は過重労働でメディアに企業名が出ることを非常に怖れています。『ブラック企業』という印象を持たれ、バッシングを受けかねないからです。かとくに狙われているという噂が立つだけで、消費者の信頼を失うと同時に、採用活動への悪影響が懸念されます。

若者はブラック企業に関する情報に敏感ですし、特に今は売り手市場なので、人が集まらなくなってしまう。集まったとしても、質が落ちる可能性が高い。これは人事部の採用担当の評価に関わるため、なんとしても防ぎたい事態です。

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そこで、どこの人事部もコンプライアンスに漏れがないかを細かく点検しています。

電通の場合は、労使間で定められた残業時間の上限が月70時間と比較的短かったのですが、多くの企業は100時間から150時間を上限にしている。

100時間なら、週休2日で毎日残業しても一日4時間強。これを超えている社員がいないかをチェックしているようです」