文科省内でささやかれる、松野大臣への新たな「忖度疑惑」

母校でノーベル賞受賞者の講演って…
長谷川 学 プロフィール

将来有望とされる海外のエリート高校生たちは木更津高校の生徒とランチをともにし、体育館で剣道部の実技などを見学。その後、海外と木更津高校の生徒を前に野依博士が特別授業を行い、ノーベル賞を受賞した研究のテーマなどについて話した。

さくらサイエンスプランのホームページでは「未来のサイエンティストたちも先生の話を伺って、大いに励まされたようでした」と報告されている。文科省関係者が解説する。

 

「高校にとっては、ノーベル賞受賞者を迎えて講演をしてもらうのは光栄で、学校に箔がつく。松野大臣としても、自分の母校でこうした講演を開いてもらえばうれしい。地元での評判が上がれば、選挙にも役立つかもしれない。

そういう松野氏の気持ちを”忖度”してでしょう、科技庁グループが中心となって、数ある高校の中から、あえて現役大臣の母校を最初の訪問先にしてイベントを開くことを決めたと聞いています。

官僚というのは、こういう細かいところでの”気配り”や”忖度”を欠かさないものですから」

学生の招聘などにかかる費用はすべて科学技術振興機構の負担だが、その原資は政府から機構に払われる年間1000億円の補助金、つまり税金である。もちろん、学生たちにも野依博士にも何の落ち度もないイベントだったわけだが、水面下では官僚から政治家への”ゴマすり”に利用されていた可能性があるのかと思うと、残念な気持ちを抱かざるを得ない(科学技術振興機構は取材に対して、そうした意向について全面的に否定した。詳しくは文末参照)。

都議選で「行政の意思決定プロセスの透明化」を訴えた都民ファーストの会を、ここまで大躍進させた国民の「いらだち」を、官僚や政治家は感じ取っているのだろうか。

【科学技術振興機構との一問一答】

編集部からの質問1:「ハイスクールプログラム」のイベントに際して、ノーベル化学賞受賞者の野依良治博士と、インドネシア、タイ、バングラデシュの高校生131人が同校に訪問されましたが、開催校が木更津高校に決まった経緯を教えていただけますでしょうか。どのような考慮の結果、同高校での開催が決まったのでしょうか。

(答)さくらサイエンスプランの「ハイスクールプログラム」では、アジアの国・地域の高校生を日本に招へいし、我が国の最先端の科学技術に触れさせその理解を高めることを目的としており、合わせて我が国の高校生との交流を通じて、双方のグローバル化の促進を図っている。

よって、プログラムの期間中に必ず一度は我が国の高校を訪問し、一緒にノーベル賞受賞者からの講演を聴講したり、交流事業やクラブ活動に参加する等の活動を行っている。

受け入れ先の高校の選定については、訪日グループの日程、移動ルート、国別構成、交流活動内容等に基づき、国で既に指定されているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)およびスーパーグローバルハイスクール(SGH)の中から、可能性のある学校に声掛けし先方と調整の上、決定している。

なお、2014年のハイスクールプログラムの発足後、受け入れた高校は、首都圏を中心に37校(2017年度予定5校を含む)にのぼっている。

質問2:関係者を取材しましたところ、同イベントの開催が木更津高校に決まった経緯について、同校が現文部科学大臣の松野博一議員の母校であることが大きく影響しているのではないか、という話を複数から聞きました。大臣の母校であることは開催校の決定になんらかの影響を及ぼしましたでしょうか。

(答)質問1の観点で受け入れ高校を決定しており、ご質問のような事実はない。

質問3:日本・アジア青少年サイエンス交流事業は、貴機構の沖村憲樹・事業推進室長が中心となって手掛けていらっしゃると聞いております。これは事実でしょうか。

また、今年度の開催地が木更津高校に決まったプロセスのなかで、沖村氏はどのような役割を果たしていらっしゃいましたか。われわれの取材では、実質的に開催校は沖村氏が中心となって決めていると、関係者の方々から聞いておりますが、これは事実でしょうか。

(答)ハイスクールプログラムのスケジュール、内容は各担当者が関係者、訪問先と協議・決定しており、沖村憲樹は日本・アジア青少年サイエンス交流事業推進室長として、「ハイスクールプログラム」を含むさくらサイエンスプラン全体の推進を担っている。