狂乱はいつまで続くのか
それでもAはこう、うそぶくのである。
「ノアコインは欲しいと思う人が増え続けると思う。タレントの方も次々に参入してきている。知名度のある方が今のこのタイミングで出てくるのは、思った以上に速いスピードで世の中に普及して行っているってことですよ」
こんなおためごかしな演出と、豪華な出演者に翻弄された様子で隣に座る男性は「すごいですね、ノアコインは」と筆者に興奮気味に話しかけてきた。「いくら買ったのですか?」と尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。
「いやぁ、まだほんの数口(数十万円)なのですがね。その真贋を確かめようと思って、このセミナーに来てみたのですが、来てよかったな。これは本物ですよね」
筆者は絶句して、「フィリピン大使館が警鐘を鳴らしていますよ。信用するには判断がはやいのでは」と警告したが、彼は逆に筆者をいぶかるのである。
「Aさんは社会的な地位もあって、おカネも持っている。そんな彼が今の地位を捨て去るようなことをするはずがない」
中にはノアコインに疑いを持ち始めている購入者もいた。前出のママ友3人組の一人で、すでにノアコインを買ったという主婦はこう打ち明けた。
「ネット上でもノアコインは危ないのではないかという声が増えてきています。今日は、A先生が本当に信用できるのか、確かめに来たのです」
はたして彼女は豪華絢爛の異様なセミナーを経て、ノアコインを持ち続けることにしたという。投資してしまったものの来年までは換金できない購入者は、Aを信じる以外の道を知らない。
ノアコインはまだ第2期のプレセールが終わったばかりで、今後、第3期、第4期のプレセールが予定されている。この「狂騒」がまだまだ続くのかと思うと、不安が募るばかりだ。