「疑惑の仮想通貨」ノアコインのセミナーに現れた、あの有名人たち

華原朋美に道端アンジェリカ…一体なぜ!?
藤岡 雅 プロフィール

警鐘を鳴らす専門家

早くから仮想通貨を支えるブロックチェーン技術の可能性に気づき、経産省の有識者会議「ブロックチェーンに関する検討会」の委員も務めた、日本デジタルマネー協会の本間善實代表理事は、こう注意を促している。

「BTCが100万倍に値上がりした事実を示しながら、『同じように100万倍になる』とか『今買わないと後悔する』という言葉を添えて、BTCとは似ても似つかないものを、仮想通貨として販売する人がいる。

中にはいわゆるプレセールと称して〝ねずみ講″防止法にも抵触しかねない手法で連鎖販売されているものもあるが、そうした仮想通貨のほとんどを私は実体がないと考えている。金融庁や業界団体で定義される仮想通貨から逸脱しているからです。本当にブロックチェーンを駆使した通貨が開発できるかも怪しいし、たとえ開発できたところで、日本の仮想通貨の取引所では排除される可能性が高い」

ノアコインもマルチ商法のように購入者が知人などに販売すれば、成功報酬を得る仕組みで購入者を広げているが、本間氏はこう警告するのである。

 

「4月に施行された資金決済法で仮想通貨の交換業者は登録が必要になっています。また金融庁が認定する自主規制団体が、仮想通貨のホワイトリストを作成する見込みです。

つまり日本で仮想通貨を流通させるには、このホワイトリストに入ることが至上命題ですが、ノアコインがリストインするのはかなり難しいでしょう。フィリピン大使館の警告や、宣伝に名前を使われたフィリピンからの財閥の警告、またマルチに似た商法で購入者を広げているため、業界ではすでにノアコインに対して懐疑的な認識が広がっている。金融庁に登録される国内の取引所でノアコインを扱うところはまずないと思います」

日本でノアコインを流通させるには、大きな規制のハードルが存在しているのである。

華原朋美は知っているのか

さて、「メインゲスト」ともいえる華原朋美の登場は、セミナーが始まってから4時間が過ぎた頃だった。筆者の隣に座る50代の男性は、足を頻繁に組み替え、たびたびペットボトルのお茶で喉を潤すなど、疲労の色が濃くしていたが、セミナー主催者の演出はその疲労を巧みに吹き飛ばして見せた。男性は華原の登場に息を吹き返したように立ち上がり、華原が熱唱する「I’mProud」に聞きほれていた。聴衆はやがて総立ちとなり、熱狂のうちにセミナーは幕を閉じた。

5時間にも及んだセミナーで休憩時間はわずかに5分。疲労で集中力が低下するたびに有名人が登壇するという演出には、思考をマヒさせる効果もあるのではないかと疑ってしまう。たびたび促されるスタンディングオベーションにも、一体感を演出して、信用を高めようとする意味があるのだろう。

確かにゲストは華やかだった。しかし、華原朋美の美声もケイト・アプトンの美貌も、言うまでもなくノアコインの信用を担保するものではない。事実、豪華なゲストたちは、ノアコインについては一言も触れることはなかった。彼女たちはセミナーに「華」を添える存在に過ぎなかったのだ。それは華原とAのこんなやり取りからも分かる。

A:このイベントは日本のフィリピンの架け橋という意味合いを込めたイベントなんです。
華原:私の父はフィリピンの貧しい子どもたちへの支援の活動をやっていて、あるときからフィリピンに住むようになりました。わたしも5年前にフィリピンに1年間住んでボランティア活動をやったことがあります。

A:フィリピンはどういうイメージですか?
華原:貧富の差が激しいですね
A:そこにつきますよね。僕たちはノアプロジェクトを通してフィリピンの貧困問題、ひいては世界の貧困問題を解決したいと思って頑張っているんです。
華原:こういう素晴らしい人が日本にいらっしゃることが、すごく感動します。

話題はフィリピンへの慈善活動に終始。Aは「ベストセラー作家」を自称しているのだが、最後に華原にAが書いた小説が手渡された。このプレゼントに華原は驚いたように、こういうのである。

華原:あらぁ、(Aさんって)すごい方なんですね!

華原はAが何者なのか、このイベントがノアコインの販促セミナーであることなど、全く知らされていなかったのではないか。他のゲストたちについても一事が万事こんな調子で、ゲストの口からノアコインについては語られることはなかった。