戦後最大の「1兆円倒産」タカタはどこで何を間違えたのか

銀行はこうして創業家を見捨てた
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謝罪を嫌がるトップ

問題がメディアで大々的に報じられてからも、タカタの対応は後手後手に回る稚拙なものだった。佃モビリティ総研代表の佃義夫氏が語る。

「問題発覚後、本来であれば、高田会長が出てきてきちんと謝罪をするべきなのに、ほとんど表に出てこない。今年の3月期決算でも会長本人ではなく、野村洋一郎取締役が出てきて改めてエアバッグの件を謝罪していた。

ホンダをはじめとしたメーカーは、創業家によるガバナンスを問題視し、改革の提言を行ってきましたが、タカタに一切変化の兆しが見られないので見切りをつけざるをえなかったのです」

ホンダPhoto by GettyImages

そもそもタカタは、エアバッグ問題が発覚してもかなり強気だった。それどころか、

「タカタが破綻したら、搭載するエアバッグはどこが作るんですか」と自動車メーカーに対して支援を要請していたともいわれる。

「タカタの経営者はダウンサイドリスクを見誤ったということに尽きる。ダウンサイドリスクとは、被る可能性のある最大限のリスク。エアバッグ以外にもシートベルトやチャイルドシートなどで高いシェアを誇っていたため危機感が薄れていたのだろう」(経営コンサルタント小宮一慶氏)

これまで安定した優良経営が続いていたので、銀行からの貸し付けも少なかった。最も多いメインバンクの三井住友銀行で約130億円。銀行側も大きな貸し付けがあれば、一緒になって本気で再建策を練るだろうが、この程度の額なら、最悪ドブに捨ててもしかたないくらいにしか考えていない。

主要行は連鎖倒産を防ぐための特別融資枠にも応じる予定だが、タカタを本気で再建できるとは考えていないだろう。

 

経済ジャーナリストの町田徹氏が語る。

「ホンダとタカタはもともと一蓮托生でしたが、リコール問題が拡大するなか、あまりに危機感の薄いタカタに業を煮やしたホンダが'15年11月に他社のエアバッグを採用することを発表し、完全にタカタと決別しました。

自動車メーカーは消費者との大きな接点を持っているので早めに率先してリコールに対応しなければいけないし、実際に対応してきた。しかし、タカタは自動車メーカーのエアバッグの設置場所が悪かったと主張するばかりで、なかなか責任を取ろうとしなかった。

自動車メーカーに提供する試験データを隠蔽したことで、タカタの社員3人が訴えられたこともありました。自分たちの隠蔽は棚に上げて、配置レイアウトの問題だと言っていたのですから、自動車メーカーが頭に来るのもわかります」