赤字22億円!名門・東京女子医大が「危機的状況」に陥っていた

職員向け「決算報告書」をスクープ入手
週刊現代 プロフィール

女子医大では、手持ちのキャッシュもみるみる少なくなっている。

〈平成15年3月末の施設設備資金や運転資金等の現預金の合計は270億円でしたが、7年連続赤字の結果、平成22年3月末同残高は49億円と221億円の大幅減少となっています。赤字にもかかわらず賞与支給率を維持したことが主たる理由です。

その後、かろうじて黒字転換となりましたが、平成26年度からの3年連続赤字により、現在の本学には現預金の余裕は全くありません。〉

さらに苦しいのが、建て替え問題である。病院の耐震補強工事に大型の設備投資を行っているうえ、老朽化した校舎棟を解体し、新校舎棟の工事を予定している。

〈これらの設備投資は金融機関からの借入で対応しています。(中略)金融機関との資金調達に関する交渉はこれからです。4年連続収支差額赤字となれば金融機関の対応に変化も予想されます。〉

銀行が投資資金を貸さなければ、どうなるか。前出の川嶋氏は言う。

「経営が苦しいとは聞いていたが、ここまでとは知りませんでした。もし大学が潰れることにでもなれば、学生を預かっている以上、大変なことです。経営陣が替わることで存続できるかどうか」

 

改革を阻む派閥抗争

文書は最後にこう記している。

〈現状に対する職員の意識を高め、改善・改革のための具体的な行動が必要です。患者さんが戻り、医療収入増加に貢献する、あるいは経費削減により収支改善に貢献することがないか、各職員一人一人が当事者意識を持ち、真摯に考え、行動をしてください。〉

だが、理事長名のこの文書が、勤務する教職員の心に響くことはない。'14年の医療事故のあと、上層部がやったことは、事故を政治抗争の道具にすることだったからだ。

「事故に真摯に向き合うことなく、理事長派と当時の学長派が学内で責任をなすりつけ合う動きが加速しました」(同大の現役医師)

'14年の事故の遺族代理人を務めた貞友義典弁護士も言う。

「女子医大は、特定機能病院の承認取り消しの根本原因を直視しなければなりません。第1回の取り消しの際には悪質なカルテ改竄が露呈しました。隠蔽体質は、現在でも根強く残っています」

今回の文書について女子医大に見解を聞いたところ、「個別の内容についての回答は控えさせていただきます。業績回復に大学全体で取り組んでおり、改善の結果も現れてきております」と答えた。

いま、落日の「名門医大」を支配しているのは、寂寥感だけだ。

「週刊現代」2017年7月8日号より