慶應義塾の「疑惑の塾長選」そのウラ側をぜんぶ書く!

なぜか二位が勝利して、会議が大炎上
週刊現代 プロフィール

守旧派vs.改革派

実はここに、その銓衡委員会の議論の様子を記したメモがある。内部関係者が作成したものとされ、一部慶應関係者の間で流通しているものだ。

銓衡委員会は議事録が公表されない秘密会合だが、ここでの話し合いで塾長候補が選ばれるため、事実上の決定機関。本誌がその銓衡委員会の出席者に確認したところ、概ねメモの内容は間違いないという。

「銓衡委員会が開かれたのは評議員会の3日前の4月17日。午後2時から始まった会では、細田、長谷山、岡野3氏の候補者がそれぞれ政策方針をプレゼンテーションし、質疑を実施。その後、銓衡委員だけで討議が行われた」(出席者の一人)

メモによれば、その討議では極東証券会長の菊池廣之氏が「長谷山候補がいい」と切り出すと、キッコーマン名誉会長の茂木友三郎氏も「セコンド。現在の執行部の継続が望ましい」と発言。長谷山氏は前任の清家篤塾長体制で常任理事を務めているので、「セコンド(2位)」だけど望ましいということだった。

さらに、スルガ銀行会長の岡野光喜氏、丸紅元社長の勝俣宣夫氏らも同調し、「長谷山推し」の意見が15分ほど続いたという。

これに対して、サントリーHD会長の佐治信忠氏が、「持続もいいが、義塾には改革も必要なのではないか。現執行部ではなく1位の細田候補がいい」と語ると、大正製薬会長の上原明氏も「義塾の国際化を考えると細田候補がいい」と発言。

慶應大学総合政策学部長の河添健氏も「国際性、改革性で細田候補が優れている」と主張し、細田氏を推薦する声も出た。

 

しかし、その後は再び長谷山氏を推す声が連発する展開に。「細田候補の言っていることは実効性がない」「長谷山君が良い。体育会の相撲部長で低迷していた部を再興させた」……そんな発言が飛び交ったという。

そんな討議は約30分で終幕を迎える。岩沙議長が元塾長の安西祐一郎氏を指名すると、「これで最後の発言とします」と予告。安西氏が発言し終わると、「この委員会としては長谷山候補を全会一致で塾長候補として推薦いたします」と結論を下し、委員の拍手で閉会となったというのだ。出席者の一人は言う。

「最終的に細田氏か長谷山氏かどちらがいいのかという多数決もなく、岩沙議長の判断で長谷山氏が選ばれた。

しかし、何をもって決めたのかがいまだわからない。1位の細田氏が選ばれるものと臨んでいたので、意表を突かれているうちに押し切られてしまったというのが正直なところです。

いま思えば、最初から長谷山氏に持って行こうとする流れがあったようにも感じます。細田氏の質疑応答の際、ある委員が『文部科学省の役人とうまくやっていくことが必要』などと語り、そうした経験の薄い細田氏では頼りないという印象ができた。

討議では岡野氏について、『ノーベル賞を狙っていただければいいのでは』という発言があり、会場に笑いが起こるような場面もあった」