慶應義塾の「疑惑の塾長選」そのウラ側をぜんぶ書く!

なぜか二位が勝利して、会議が大炎上
週刊現代 プロフィール

封じられた発言

そもそも、塾長を選ぶには大きく3つのプロセスが実施されている。

第1が「塾長候補者推薦委員会」で、大学、高校などの教職員の代表450名が2度投票を行い、塾長候補者3名を選出するものである。

次に「塾長候補者銓衡委員会」が開かれ、その候補者3名のうち塾長候補者1名を選定。最後に開かれるのが「評議員会」で、推薦された候補者1名が塾長にふさわしいかが最終決定される仕組みとなっている。

今回、推薦委員会で230票を得て1位になったのが、慶應大学経済学部教授の細田衛士氏。2位が213票の長谷山氏で、3位が170票を集めた慶應大学医学部教授の岡野栄之氏だった。

しかし、なぜか銓衡委員会は塾長候補者として細田氏ではなく長谷山氏を選定。評議員会でもそのまま承認を求める流れになったため、不可解に感じた評議員が異論を投げかける「紛糾会議」に発展した形である。

Photo by iStock

議事録に戻れば、次にマイクを握ったのは日本IBM名誉相談役の北城恪太郎氏。当日の様子を、改めて本人が語る。

「私は必ず得票数が1位の人が選ばれなければいけないとは思ってはいませんでしたが、評議員としての責任を果たすためには、長谷山氏以外の2人の候補についてもその考えが知りたかった。

それで、『ほかのお二人のお考えを教えてください』『それなしに承認しろと言われても責任をもって承認できない』と申し上げました。しかし、それは認められなかった。ガバナンスの仕方を変えたほうがいいと思いました」

実際、評議員が次々と異論を述べる中、岩沙議長は「銓衡委員会が一致して長谷山さんがふさわしいということになった」との旨を繰り返すばかり。

岩沙議長は銓衡委員会の委員長も兼務するが、「2位」を選んだ理由については「推薦委員会の得票は、銓衡委員会としてはあくまで参考資料」と言い放ち、詳細な説明を避け続けたのである。

そんな会議が最も緊張感に包まれたのは、慶應大学法学部長の岩谷十郎氏がマイクを握った時だった。議事録に次のやり取りが記録されている。

〈岩谷法学部長:(中略)銓衡委員会に参加した部門長の1人として、私の個人としての意見を述べさせていただきたく存じます。

本日は私自身、器用な人間ではございませんし、しかし塾の最高意思決定機関のこの評議員会に参加したうえで、評議員の皆さまの決定をするに当たっての重要な資料として、先ほど岩沙議長から様々なお話がございましたが、それが……。

岩沙議長:お話中失礼ですが、銓衡委員会の審議の中身についてはお控えいただきたいと思います。ご参加されていた立場として〉

岩谷氏の発言を岩沙議長が途中で制した――。

 

この瞬間、評議員の一人は、「不信感がピークに達した」と言う。

「岩沙議長は、岩谷氏が銓衡委員会での議論の中身を話すことを恐れているように感じました。いま国会で安倍政権が疑惑の追及をはぐらかし、発言を封じようとしているのと同じです。

一方、岩谷氏は発言を遮られた後もひるまず、銓衡委員会ではその決定が『門外不出』と言われたと明かした。

さらに、『教員から数多くの不安の気持ちを記したメールが届いている』などと、塾内の実情を語っていった。焦ったのか、岩沙議長は、『今のようなことをおっしゃるならば、銓衡委員会の場でもっと言っていただけなければ』などと言い、岩谷批判に話をすり替えようとした」

いったい、岩沙氏が発言を遮って語らせようとしなかった「門外不出」の議論とはどのようなものだったのか――。