『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズには、次のようなセリフがよく出てくる。
だが暗闇に道を開くのは 「覚悟」のある者だけだ…
おもしろくなってきた……
このぼくとミスタの「責任」は!
「覚悟」が道を切り開く!!(第五部、ジョルノ・ジョバァーナ)
「覚悟した者」は「幸福」であるッ!(第六部、プッチ神父)
失敗というのは…………いいか
よく聞けッ!
真の『失敗』とはッ!
開拓の心を忘れ!
困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事をいうのだッ!(第七部、スティーブン・スティール)
他人を負かすってのはそんなむずかしい事じゃあないんだ………
もっとも『むずかしい事』は!
いいかい!
もっとも『むずかしい事』は!
『自分を乗り越える事』さ!(第四部、岸部露伴)
ここには明らかに、自己啓発的な考え方やマインドに近いものがある。
自己啓発の基本的なメッセージは、次のようなものである――もし、あなたが自分は敗れると考えたならば、あなたは敗れる。人間にとって、能力や努力よりも大切なのは、ある種の自己暗示であり、信念や覚悟の強さだ、というのである。
自己啓発の思想を箇条書きにしてみよう。
●強い信念と情熱的なモチベーションがあれば、誰でも成功し、真の富を得ることができる
●人が心の中に思い描いたことは、必ず実現(現実化)する
●「負ける」と心の中で思った人は、その瞬間に、現実でも負ける
●大切なのは、潜在意識という無限の知性に働きかけることである
●私たちは他人の欲望を変えることはできないが、自分の欲望のあり方を変えることはできる――それが結果的に、他人や社会を変えることになる
『ジョジョ』の思想は、やはり、こうした自己啓発の教えとよく似ている。個人の決断や信念(覚悟)を重視し、誰の中にでもある欲望のポテンシャルを解き放っていくべきだ、というものなのだから。