「途上国のAmazon」になる⁉こんなスゴイ日本企業があったのか

アフリカでは誰もが知っています
田宮 寛之 プロフィール

会宝産業がアフリカで成功しているのは次の3つの仕組みを整えたからだ。

1つめは「KRA(Kaiho Recyclenet Alliance)システム」。これは中古部品に関する情報や在庫状況を把握するための商品管理システムだ。どの自動車からどの部品を取り出したのか、部品のコンディション、在庫数、販売状況などが一元管理されている。同社は中古部品取引にトレーサビリティを導入したことになる。

中古部品は履歴がはっきりしないことが多いため、胡散臭いイメージを持たれることがあるが、「KRAシステム」によって顧客からの信頼を得ることができた。こうして管理された部品は「会宝ブランド」部品として出荷されている。

 

2つめが「JRS(Japan Reuse Standard)」。アフリカでは劣悪な部品も流通しているので、それらと高品質の「会宝ブランド」部品とを区別するために作った品質規格だ。JRSでは中古エンジンの場合、年式、走行距離、エンジンオイルの汚れ具合、始動状態などを5段階で評価し、タグを付けて表示している。JRSがあることで、アフリカの業者は安心して日本の中古部品を購入することができる。

未開拓市場はまだまだある

3つめは「中古車部品オークション」の設置。会宝産業は2014年秋、UAEで中古部品のオークション事業をスタートさせた。当初は月1回だったが、現在は週1回のペースでオークションを開催している。今後はケニアでもオークションを開催する予定だ。そうなれば「会宝ブランド」部品の取引はさらに活発になる。

また同社はアフリカで自動車リサイクルビジネスの展開も目論んでいる。アフリカでは路肩に放置されたままの廃車が多く、交通事故や環境悪化の原因となっている。2012年からナイジェリアで2年間、国際協力機構(JICA)の支援を受け、環境コンサルティング会社イースクエア(非上場)と共同で自動車リサイクル事業の準備調査を行った。

今のところ自動車リサイクル工場の開設には至っていないが、経済発展とともに自動車が増加している状況を鑑みれば、いずれはアフリカでも自動車リサイクルシステムを確立しなければならない。その時には会宝産業が中古部品輸出から自動車リサイクル全般へと事業を拡大させることになるだろう。

中古車市場に限らず、さまざまな業界にとってビジネス上のフロンティアであるアフリカと、そこに挑戦し活躍する日本企業に、今後ますます注目していきたい。

たみや・ひろゆき 1963年、東京都生まれ。87年、明治大学経営学部卒業、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。東証記者クラブで金融マーケット取材を担当。93年、東洋経済新報社入社。多岐にわたる業界取材を担当し、『週刊東洋経済』『会社四季報』『就職四季報』に執筆。2009年、就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長に。『週刊東洋経済 就活臨時増刊号』編集長も務め、14年からは『就職四季報プラスワン』編集長も兼務。現在は編集局メディア編集委員。主な著書に、『転職したけりゃ「四季報」のココを読みなさい!』(徳間書店)、『親子で勝つ就活』(東洋経済新報社)などのほか、ベストセラーとなった『みんなが知らない超優良企業』、最新刊『無名でもすごい超優良企業』(ともに講談社+α新書)がある。