「途上国のAmazon」になる⁉こんなスゴイ日本企業があったのか

アフリカでは誰もが知っています
田宮 寛之 プロフィール

例えば、内陸国のザンビアから注文があった場合、自動車業者は隣国タンザニアのダルエスサラーム港まで輸送するだけ。そこからザンビアまでは客の依頼を受けた現地の運送業者が運転して運ぶ。しかし、運送業者のレベルが低い場合が多く、配送途中で車を故障させてしまうことが珍しくない。

そこでビィ・フォアードは、現地の通関業者などと提携して独自に物流網を構築することにした。タンザニアのダルエスサラーム港、ケニアのモンバサ港、南アフリカのダーバン港の3ヵ所から自動車の輸送を行っている。輸送とはいっても、アフリカは道路整備が遅れているので、キャリアカーを走らせられない地域が多い。そこで、5~20台でキャラバンを組んで自走して運んでいる。ここに一緒にサービスカーを走らせれば故障が起きてもすぐに対応できるし、キャラバンを組んでいれば盗賊などから襲われるリスクが低下する。

 

アフリカの物流を一手に握る

アフリカでの販売台数が多いのは、日本からアフリカへの配送を効率化して、販売価格を抑えたからだ。同社がアフリカへ輸出を始めた頃は、パキスタンの業者がアフリカへの日本の中古車輸出を独占していた。彼らは日本からいったんアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに車を運び、そこにアフリカの業者が買い付けに来ていた。

ところが、ビィ・フォアードは日本から直接アフリカへ輸送することにした。ドバイを経由して2回船に載せるよりも費用が安くなる。早く着くので車が潮風にさらされる時間が短くなり、それだけ車のコンディションが良好に保たれる。パキスタンの業者が扱っている中古車よりも品質の良いものが安いとなれば販売台数は増えていく。

アフリカに詳しいことから、「最近では大手を含むさまざまな日本企業から相談を受けることが増えた」(山川社長)。どの企業もアフリカでモノやサービスを売りたいが、アフリカの事情がわからないし、市場調査もできない。同社は今後アフリカ市場参入のためのコンサルティング業務も手掛けていく。

また、中古車販売で作り上げた物流網やインターネットによる決済・送金システムを活用して、中古車以外の日本製品の販売も行う。すでにオートバックスセブンのグループ会社でカー用品の総合卸売会社パルスターと提携し、パルスターから供給されたエンジンオイルをビィ・フォアードのブランドで販売している。今後はパソコン、日用雑貨などあらゆるものを扱う方針だ。

品ぞろえが拡大すれば「BE FORWARD.JP」は中古車販売のECサイトから「新興国・途上国向けアマゾン」または、「新興国・途上国向けアリババ」へと生まれ変わることになる。

「ニッポン品質」への信頼がカギ

ビィ・フォアードは越境ECサイトだが、海外向け中古車販売会社としてはエスビーティー(非上場)、トラストアガスタ(非上場)といった企業がある。

エスビーティーは1993年の創業で、国内拠点8ヵ所、海外拠点41ヵ所で事業を展開し、世界120ヵ国以上に中古車を輸出している。2015年9月期で年間売上高920億円を超える。中古オートバイの輸出もしている。

トラストは東証2部上場で売上高189億円。世界各国に中古車を輸出しているが、総台数の約4割がアフリカ向けだ。また、南アフリカでは新車ディーラーとしてプジョー、フィアット、アルファロメオ、スズなどの新車を販売しているだけでなく、中古車販売ディーラーの経営も行っている。

カーチスホールディングスの子会社であるアガスタは、年間約1000台をアフリカに輸出している。これは同社の輸出全体の約2割にあたる。

会宝産業(非上場)は自動車中古部品の卸売企業。本社は石川県金沢市にあり、2015年12月期の売上高28億円。中古車を買い取って解体し部品を販売している。中古部品のうち75%が輸出で約80ヵ国と取引している。

海外拠点は5ヵ所だが、そのうち3ヵ所がアフリカ(ケニア、ナイジェリア、ガーナ)で、やはりアフリカビジネスに力を入れている。メーカーの純正部品は高いので、アフリカでは自動車修理に新品の純正部品を使用することは少ない。現地政府や大企業が使用する車を修理する時も同様だ。中国製やインド製の部品は安いが品質が劣るので、品質の高い日本製の中古部品は人気がある。