東京オリンピック「経済効果予測」のオカシさを暴こう

「7兆~32兆円」の根拠ってなんだ?
森田 浩之 プロフィール

過大な期待は禁物だ

オリンピックに「負の経済効果」があることを最もよく示したのは、2004年アテネ大会だろう。近代オリンピック発祥の地で再び行われる大会のために、ギリシャはインフラ整備にのめり込んだ。

ユーロ加盟で資金調達が楽になったこともあって、ギリシャは国債を発行しまくった。オリンピック関連支出の総額は当初の計画から倍増して89.1億ユーロ(約1兆円)に膨らんだ。

 

ギリシャは2010年から深刻な経済危機に突入し、今も抜け出せずにいる。その大きな要因は、オリンピックでの大盤振る舞いだと見られている。

アテネ大会のために造られた数々の競技会場は、本当の意味での「レガシー」になった。今ではまったくと言っていいほど利用されず、資金難から放置された状態だ。雑草が腰まで伸び、看板が傾き、座席は壊され、荒れ放題になっている。

アテネ大会は新たな「ギリシャ遺跡」を残したと、皮肉っぽく言われているほどだ。

〔PHOTO〕gettyimages

2020年東京オリンピックが、アテネと同じような結果にならない保証はない。東京都の調査チームは昨年9月、開催費用が総額で3兆円を超える可能性があると報告。現在は1兆3900億円までコストダウンするという試算を示しているが、それでも招致時に掲げた予算の2倍近い。

東京オリンピックの経済効果には、大きな期待がかかっている。アベノミクスの「第4の矢」とも呼ばれ、「アベノリンピクス」なる奇妙な造語まで生まれた。

しかしオリンピックを開いても、経済成長率がそれほど上がるわけではない。外国人をそれほど呼べるわけでもない。

経済効果というものが本当にあるかどうかさえわからないし、大会後に不況を招く可能性もある。

過大な期待は禁物だ。むしろ過去の例から考えれば、せいぜいオリンピックが経済成長を押し下げないことを願ったほうがよさそうだ。

【つづきはこちら:男性至上イデオロギーが支配したオリンピックの「黒歴史」