ビジネスパーソンをターゲットに、連日のように勉強会やセミナーが開催されている。そんな中で異彩を放つのは、カリスマ的人物が少人数を対象に、非公開で行う「私塾」の存在だ。限られたメンバーだけに許された、特別授業の中身とは?
京都市内中心部のホテルで、毎月一回、若手の経営者を集めた朝食会が開かれている。主催は「京都クオリア研究会」。堀場製作所の堀場雅夫最高顧問が京都の学者に呼びかけ、2007年に発足した研究会だ。
堀場氏は、京都で7代続く旧家に生まれ育った純粋の京都人。
京都大学で物理学を専攻していた1945年、20歳で堀場製作所の前身・堀場無線研究所を創業した、学生ベンチャーの草分け的存在だ。
経営者として堀場製作所を世界有数の分析・計測機器企業に発展させる一方で、30代半ばには医学部に再入学して博士号を取得。
科学から文化・哲学まで幅広い素養をそなえた名経営者として、京都人の尊敬を集める存在だ。
その堀場氏を囲む朝食会のメンバーは、食品、繊維、IT・情報関連など、京都を代表するさまざまな企業の社長および後継者16名。
ちなみに京都には、オーナー社長でなければ、どんな大企業の社長も単なるサラリーマンと見る風土がある。
ここに集うのは老舗、ベンチャーにかかわらず全員がオーナー経営者ばかり。京都の未来に寄せる思い入れと責任感は大きい。
朝8時、朝食が用意されたホテルの一室に、次々とメンバーが集まってくる。多忙な現役社長たちが集まれる貴重な時間だ。
メンバーが全員揃った頃合いを見計らうように、堀場氏が入室。とたんに部屋のなかにピリッと緊張した空気が流れる。まずは雑談を交わしながらの朝食の後、意見交換の時間が始まる。