2023年・人件費高騰で、日本の企業が機能不全になる

恐るべき「未来の年表」を公開
河合 雅司 プロフィール

労働力人口の中でも高年齢化が進む

勤労世代の減少は企業経営に影を落とすことになるだろうが、もう1つ、あまり語られない重要なポイントがある。絶対数が減るだけではなく、この世代の中でも高年齢化が進む点だ。

2015年国勢調査によれば、20~29歳が1259万人に対し、30~49歳は3372万人、50~64歳は2372万人である。もちろん、それぞれの年齢層すべての人が仕事をしているわけではないが、単純計算をすれば、すでに3分の1を50歳以上が占めている。

高年齢化はさらに進み、社人研の人口の推計によれば、2040年には50歳以上の占める割合が4割を超す。

労働力人口の高年齢化を各職場に置き換えて考えれば、ベテラン社員が増えるということ。仕事に対する知識や熟練度は高いかもしれないが、ベテラン社員は行動力が鈍くなりがちだ。

仕事は若手からベテランまで多様な年代がいてこそ円滑に進むものであり、ある年齢層だけに偏ったのでは生産性を上げるのは難しい。若手が少なければ、ベテラン社員が仕事のコツや代々伝わるノウハウを引き継ぐこともできない。

高年齢化でとりわけ注目されるのが、人口ボリュームの大きい団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)の動向だ。団塊世代が引退した今、大きな人口の塊である団塊ジュニア世代はさまざまなビジネスシーンに影響を与える。

社員の年齢構成の偏りは、企業にさらなる問題を突き付ける。人件費の増大だ。

団塊ジュニア世代は2017年時点で43~46歳である。彼らの年齢が上がるにつれて、人件費負担が重くのしかかってきている。

一般的に賃金のピークは50代前半とされることから、団塊ジュニア世代の先頭が50代に突入し始める2021年頃から、彼らの多くが50代となる2024年頃にかけて、企業の人件費はピークになると見られる。

団塊ジュニア世代とともに年齢構成を押し上げているのが「バブル世代」だ。日本経済がバブル期にあった1990年前後に入社した人たちで、団塊ジュニア世代より少し早い1969年生まれあたりから該当する。

バブル崩壊後は新卒採用が急激に抑制されたため、組織全体に占める割合が大きい。しかも、団塊ジュニア世代もバブル世代も、賃金が高い課長や部長といった管理職に就任する年齢に差しかかっているが、人数が多いので、ポストが不足しがちだ。

企業によっては彼らの処遇やモチベーションを引き出すために管理職ポストの増設を迫られるところもあり、人件費負担はより膨らむ方向へと作用する。

人件費やポスト不足の問題を乗り越えても安閑としていられない。団塊ジュニア世代が60代に突入する2032年以降は定年退職者が増え始め、退職金負担も大きくなる。

このように、労働力人口が高年齢化しながら大きく減少していく影響と歪みは複雑に交錯していく。その実態をよく知らなければ、企業のダメージは大きくなり、結果として日本の豊かさを削ぐことになる。

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【2023年の日本】まとめ
労働力人口が5年間で約300万人も減る一方、団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代に突入する。