日本人よ、「筋トレ神話」から目を覚ませ!

「筋肉」よりも「骨」を鍛えよ
勇崎 賀雄

「骨が豊か」と書いて「からだ」

「身体と関係している日本語『からだことば』には、骨に関係する言葉がたくさん残されています。大事なことの枠組みのことは『骨組み』、主要な部分を『骨子』、非常によく理解できたことを『骨身にしみる』と言いますよね。また、強い精神力の持ち主を『気骨のある人』などと言ったりします。そもそも『体』は旧字では『骨が豊か』と書いて『體(からだ)』でしたから。いかに昔の日本人が骨を大事にしていたかがわかります。

骨は身体を支える『ハードストラクチャー』です。たとえば。どんなに外見が立派な高層ビルでも、ビルを支える鉄骨が細かったりもろかったりしていては、絶対に安心できないでしょう? 人間の身体も同じです。

また、骨の役割は身体を支えることだけではありません。血液や免疫細胞をつくり、カルシウムを蓄えて必要に応じて全身に供給し、ホルモンの調整をする。こうしたことも骨の働きです。また背骨・体幹が歪むと、内臓に大きな影響が出ます。つまり人の健康は骨の健康といっても過言ではないのです」

 

勇崎氏の「からだの学校」では、骨からからだを動かすさまざまなエクササイズを通じて、骨を調整し、元気にするプログラムを実施している。氏の指導するエクササイズによって、「杖をついてやっとの思いで歩いていた人が、ゴルフが再びできるまで回復した」「70歳を超えてから年々骨密度が上がるようになった」などなど、大きな効果が上がったとの声が続出しているという。さらに、「大人なのに背が伸びた」という人も。

「よく歳をとると身長が縮むと言いますが、それは背骨が歪むことと背骨の節(椎間板)が縮んでしまうからです。上から頸椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個ありますから、それぞれの節が1ミリ縮むと、合計で約2センチ縮んでしまいます。だから背骨の歪みを整え、節が元気を取り戻せば、大人でも身長は伸びる。実際にここに通っている方で『健康診断で身長が伸びた』と言っている人が何人もいますよ」

御年68の勇崎氏の骨年齢は20代前半。エクササイズを指導する彼の軽やかな動きが、その効果を何より雄弁に物語っている。

勇崎賀雄(ゆうざき・よしお) 身体哲学者。1949年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。西洋の身体論(身体哲学)を学びながら、東洋の行法(坐禅、武術、ヨーガ、気功)、特に呼吸法を徹底的に実践研究し、現代の呼吸法の盲点、俗説を完全解明する(『「阿修羅」の呼吸と身体』(現代書林))。また早くから骨に着目し、形態学、進化生物学、比較動物学などを基に、独自の〈骨文法〉を確立し、虚弱化する現代人の健康法 骨呼吸エクササイズを創案する。他の著書に脳化社会に警鐘を鳴らす『脳ひとり歩き時代』(河出書房)や『骨革命』(主婦の友社)がある。身体哲学研究所所長、からだの学校・湧氣塾主宰。