元CIA・情報のプロがついにトランプの「フェイク政策」を見破った

「サウジに武器は売られてません」
山田 敏弘 プロフィール

どこにも証拠がない

同研究所のホームページに上げられたこの記事を執筆したのは、同研究所で上級研究員を務めるブルース・リーデル氏。中東情勢やテロ組織などの取材をする筆者のようなジャーナリストにとって、リーデル氏はあまりにも有名な人物である。

2006年に30年勤めたCIA(米中央情報局)を引退したリーデル氏は、NSC(米国家安全保障会議)の上級顧問として過去4人の大統領と仕事をしてきた。著書も数多く、ハーバード大学やジョンズ・ホプキンズ大学、ブラウン大学などで教鞭も執る。

彼は記事の中で、トランプ大統領がサウジを訪問して1100億ドルの武器売買を発表したが、「問題は、合意などなかったことである。フェイクニュースなのだ」と指摘したのだ。

 

一体どういうことなのか。リーデル氏はこう続ける。

「私は軍需産業関係者や連邦議会にいる知り合いたちに話を聞いたのだが、全員が口を揃えてこう言ったのである。1100億ドルという合意など存在しない、と」

「(サウジ側が)購入の意向や興味を表明する書類は数多くあるが、それだけだ、という。契約書などは存在しない。それらの書類は、軍需産業から見ると、サウジ側がいつか興味をもつだろう武器を提供しますよ、という提案に過ぎないのである」

売却提案の対象となったのは、例えば多目的水上戦闘艦艇や、韓国にも配備された高高度迎撃ミサイルシステムのTHAADだ。ただ、どちらも2015年の段階ですでにサウジ側に提案されているもので、その時も売却は実現していない。また多目的軍用ヘリのブラックホークも150機が売却希望リストにあるが、これも以前から検討が続いている話だ。

端的に言うと、今回米政府は、今後4、5年でサウジに売却したい兵器を提案しただけに過ぎないのだ。また、今後売却するかもしれない兵器についても目新しい提案などが見当たらないばかりか、オバマ政権時代の提案などをひとまとめにすることで、あたかも華々しく売却合意がなされたかのように発表しただけなのである。

リーデルは繰り返す。

「これはフェイクニュースである」