医師が警告!ラジオ体操は「膝」と「腰」を痛めます

簡単な運動、と甘く見てはいけない
週刊現代 プロフィール

そして特に60歳以上の人の場合、運動する「時間帯」にも気を配ったほうがいい。
著書に『やってはいけないウォーキング』(SB新書)がある、東京都健康長寿医療センターの青冶幸利氏は、「朝の運動は注意するべき」と指摘する。

「朝は脳卒中や心筋梗塞の発症率が一番高い時間帯といわれています。人間は眠っている間に発汗や呼吸をすることで、かなりの量の水分を失っています。つまり寝起きは血中の水分量が少なくなり、血液がドロドロになっている状態なのです。

加齢とともに動脈硬化も進み、血管が詰まりやすくなっていますから、水を飲まずに運動をしはじめると、命取りになりかねません。少なくとも水を飲んでから30分以上は、汗をかくような運動はしないほうがいいのです。

また朝はまだ体温が上がりきっていないので、筋肉がこわばった状態になっています。そのようなタイミングで無理な動きをすると、重大な疾患を引き起こすこともある、と考えたほうがいいのです」

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同様に、前出・銅冶氏も早朝の運動にはリスクがあると語る。

「早朝にラジオ体操をされる方が多いと思いますが、できれば避けたほうがいいでしょう。というのも、朝は椎間板が寝ている間に水分を含み、めいっぱい空気を入れたタイヤのように膨れた状態になっているからです。ここで無理な動きをすると、椎間板を痛めやすくなってしまいます」

運動するなら夕方がいい

それでは、いつ運動するのが理想的なのか。前出・青冶氏は、もし身体を動かすならば「夕方」であるとアドバイスする。

「夕方に運動をすることによって、身体のバイオリズムを改善することができます。適度に身体を使うことで夜よく眠れるようになりますし、睡眠の質がよくなれば、脳の活性化を促し、ひいては認知症の予防にまでつながるのです」

もちろん、ラジオ体操すべての動きが身体に支障をきたすわけではない。

前出・橋本氏は次のように語る。

「もともとはきちんと考えて作られているものですから、ラジオ体操には健康上のメリットも当然あります。適切な動作をすることで、血圧や血行を改善したり、仲間と運動することで爽快感を得ることもできる。

ただ、立ってするのが危なければ座ってやる、肩が上がらなければ痛みが出ないところまで、と自分の限界を知っていくことが大切です」

 

そのようなことを考慮してか、'99年からNHKで放映が開始された「みんなの体操」は、運動量がラジオ体操よりも少なく、また立った状態で行うものと座って行うものと2通りの方法がある。より身体の負担に配慮したメニューになっているのだ。

「高齢者の方が一度膝や腰を痛めてしまうと、急に行動量が減り、運動で血圧や血糖値をコントロールすることが難しくなってしまいます。昨今の健康ブームによって、筋力トレーニングや長時間のウォーキングに挑む人もいますが、『健康のため』と思ってやっていると逆効果になる。

万人に合うような体操や運動というものはありませんから、身体が動けなくなるような部位に関しては、特に気をつけてほしいと思います」(前出・青冶氏)

いくつになっても同じ運動が身体のためになるとは限らない。加齢とともに自分に合った動きをよく見極めるのが肝心だ。

「週刊現代」2017年6月24日号より