自衛隊の「PAC3」では、この国は絶対に守れないことが判明

原発を防御圏に収めているのはゼロって…
半田 滋 プロフィール

原発のミサイル対策は「想定外」

自治体による避難訓練も連続している。今年3月、秋田県男鹿市で初めて訓練を実施したのを皮切りに5月に青森県むつ市、6月には福岡県大野城市、山口県阿武町、山形県酒田市、広島県福山市、新潟県燕市、福岡県吉富町、山口県岩国市であり、7月には富山県高岡市で予定されている。

岩国市の場合、6月23日に全小学校を対象にサイレン音を校内に流し、机の下に隠れる訓練を行い、27日には市の全域でJアラートを流して訓練する。

「かえって住民の危機感をあおる」「過剰反応ではないか」との批判もあるが、山形県の吉村美栄子県知事は定例会見で「訓練こそ最大の防御」と語った。おおまじめなのだ。

 

それはそうだろう。安倍晋三首相が「サリンを(ミサイルの)弾頭に着け、着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」(4月13日参院外交防衛委員会)と述べ、国民に安全安心ではなく、恐怖を与えることに熱心なのだから、地方も負けてはいられない。

避難訓練する自治体をみると、原発が所在する自治体が一カ所も含まれていない点に気付く。原発は弾道ミサイルが落下してもビクともしないのだろうか。

安全保障関連法案が国会審議されていた2015年7月29日、山本太郎参院議員が参院平和安全特別委で稼働直前の川内原発に弾道ミサイルの直撃があった場合の被害を尋ねたのに対し、安倍首相は「様々な想定があり得ることから、特定の量的な被害は期していない」と答弁した。被害の見積もりはしていない、というのだ。

想定がないことが被害のないことを意味しないのは、福島第一原発の事故が証明している。原発事故は起きないという「原発神話」のもと、最も深刻な「レベル7」の事故は起きた。あの事故で政府や米政府の最大の関心事は運転停止中の4号機にあった核燃料プールの水位だった。

当時の民主党政権は、爆発のあおりを受けた4号機にある使用済み燃料棒1535本が入った核燃料プールの水がなくなれば大量の放射性物質が放出され、原発から半径250㌔圏まで避難の必要があると覚悟した。

米政府は日本側の確認を待つまでもなく在日米軍家族のうち約7000人を国外へ退避させ、グアムから滞空型無人機「グローバルホーク」を飛ばして水の有無を確認したほどだ。

幸い冷却のための水があることが確認されたが、ここで得た教訓は原子炉格納容器が破壊されなくても、核燃料プールの水がなくなれば未曾有の被害が出るということである。

核燃料プールは、福島第一原発のような沸騰水型原子炉(BWR)では原子炉格納容器の上の天井に近い場所にあり、上空から落下する弾道ミサイルの餌食になりかねないことを全世界が知ることとなった。

川内、高浜、伊方のような加圧水型原子炉(PWR)は原子炉格納容器の横に位置するが、原子力規制委員会はBWR、PWRどちらの原発に対しても弾道ミサイルが直撃した場合の対策は求めていない。安全神話は今も健在なのである。