そろそろ天皇制が無くなった日本を考えなければならない

ご退位と眞子さまご成婚で一気に切迫化
島田 裕巳 プロフィール

しかし、すべに述べたように、皇室の存続が危ぶまれる状態が到来している。そこには、さまざまな要因がかかわっているが、大日本帝国憲法と同時に定められた旧皇室典範で、天皇を男子に限り、また、皇族に養子を認めないと規定したことが大きく影響していた。

しかも、戦後に改正された現在の皇室典範では、天皇が側室を持つことも認められなくなった。旧皇室典範では、「庶子(側室の子)」が皇位を継承することが認められていた。

さらに、戦後には11あった宮家が臣籍降下したため、その時点で、皇族は一挙に51名も減った。

 

1つの家を継承していくことは、天皇家に限らず難しい。しかも、男系での継承を絶対とすれば、さらに困難になる。戦後の天皇家は、その方向にむかってきたわけだから、存続が難しくなるのは必然的なことである。

事態が急を要する以上、女性宮家や女性天皇、あるいは女系天皇について本格的に議論をしていくべきである。ところが、現在の政権は消極的であり、また、そうした議論自体に反対する勢力もある。

たしかに、女系天皇になると、これまでの伝統からは大きく逸脱することになる。女性宮家や女性天皇は、一時的にしか機能しない可能性が高い。

11あった宮家を皇族に戻せばいいという議論もあるが、すでに途絶えてしまった家もあるし、もっとも近くても、現在の天皇とは14親等も離れている。それに、皇族から離れて70年以上が経つため、その自覚がない者も多い(八幡和郎「今上天皇に血統の近い知られざる『男系男子』たち」『新潮45』2017年1月号)。

どこの国にも国民が納得する元首が必須

皇統の継承が難しくなれば、日本も大統領制を導入するしかない。日本には大統領制はなじまないという声はあるし、アメリカや韓国のことを見ていると、大統領制がいかに多くの問題を抱えているかが明らかになってくる。だが、たとえ形式的であっても、国家は、さまざまな重大事項を最終的に決裁する一人の人間を必要とする。

議院内閣制のもとでの内閣総理大臣は、三権分立の建前もあり、天皇の代わりを果たすことはできない。内閣総理大臣が自分で自分を任命することはできないのだ。

大統領制のもとでの日本がどういう国家になるのか、多くの人には想像もできないだろうが、その点を視野に入れての議論が今や必要である。

日本が採用するとしたら、ドイツのような象徴的大統領制だろうが、そうした大統領が、現在天皇が果たしている役割をすべて担うことは不可能である。

大統領は直接選挙で選ぶしかないし、選ばれるのは国民の1人である。そうである以上、大統領から神聖なものは感じられないはずだ。

大日本帝国憲法を制定する際に、伊藤博文は、宗教が機軸にならない日本では、皇室を機軸にするしかないと主張した。その皇室という機軸が今や大きく揺らぎつつあるのである。