「韓国芸能高校」潜入ルポ~EXO、防弾少年団、TWICEらが卒業

写真満載!K-POPアイドル育成最前線
桑畑 優香 プロフィール

芸能活動と学業を両立できるシステム

もう一つの名門ソウル公演芸術高等学校は、ソウル南西部の古い街並みが続く丘の上に立つ、明るいレンガ色の校舎が目印だ。黒いラインで縁取られた鮮やかの黄色のブレザーという異彩を放つ学生服は、韓国を代表するデザイナー、イ・サンボンによるものだ。

韓国のテレビ番組の「かわいい制服ランキング」で見事1位に。ネクタイの星の模様がスターを象徴している。photo by Yuka Kuwahata

出身者は、EXOのセフンとカイ、CNBLUEのイ・ジョンヒョン、FTISLANDのソン・スンヒョン、イ・ジェジン、チェ・ミンファン、防弾少年団のジョングク、SEVENTEENのエスクプス、ウォヌ、ドギョムなど、豪華なスターが顔をそろえる。

ソウル公演芸術高等学校OB、EXOのカイ。photo by gettyimages

「かつて芸術系の高校といえば、クラシック音楽やバレエなどが中心でした。K-POPがブームになる中、現代風の音楽やダンスを学ぶ学校が必要だ、と。また、芸能事務所に所属する生徒が、厳しい練習生生活をしながら学問にも打ち込める環境を整えたかったのです」

 

パク・ジェリョン校長は演劇俳優という異色のキャリアの持ち主だ。1960年代に創立された普通科の私立高校だったが、2002年にパク氏が校長に就任。2009年に芸能教育に重点を置く学校として生まれ変わった。コースは4つ。演劇映画科、実用音楽科、実用舞踊科のほか、韓国の高校としてただ一つ、ステージセットを学ぶ舞台美術科があるのが特徴だ。

パク校長は現在も舞台役者として活動中。舞台美術科を設置したのは、「韓国の演劇を発展させたい」という思いからだった。photo by Yuka Kuwahata

「韓国の高校としては前例がなかったため、ニューヨークフィルムアカデミーや、日本の尚美学園大学などのカリキュラムを参考にしました」

入試は実技の点数のみならず、中学校での内申点の比重が40%を占める。10%の芸能活動枠を設け、芸能活動をしている人は内申に加点されるが、「芸能活動をしていても落ちる人もいる」という。一方、入学後には芸能活動も単位として認めるなど、学業と仕事をかけもちする生徒を支えるシステムを取っている。

防弾少年団 ジョングクソウル公演芸術高等学校OB、防弾少年団のジョングク。photo by gettyimages

基本的な学習科目と芸能系の専門科目を組み合わせたカリキュラムや、放課後の校内レッスンなどは、翰林演芸芸術高等学校とほぼ同じ。

実用舞踊科の授業では、韓国の伝統的な踊りも取り入れ、体のバランスや美しい姿勢について学ぶ。photo by Yuka Kuwahata

異なるのは、学生に対する仕事の紹介や学内に芸能関係者を招いたオーディションなどの橋渡しは一切しないということだ。パク校長は、「教育とビジネスは切り離すべき」というポリシーを持っている。「特定の芸能事務所と学校が関係を持つと、互いに不利益を被る可能性がある」と考えているためだ。

ランチは大きなカフェテリアでの給食。3種類のキムチに豆腐など、お肌によさそうなヘルシーメニュー。photo by Yuka Kuwahata

だが、学校の文化祭などには、芸能事務所関係者が自ずと集まる。結果、学内の公演を機に生徒がスカウトされるケースもしばしばだ。