撮影:立木義浩
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シングルモルトのテイスティング会で運命的な“じかあたり”

タリスカー・ゴールデンアワー第3回(前編)

提供:MHD

わたしが谷川聖和と出会ってから、7年の月日が経った。この男はわたしより35歳も年下なのだが、大変なシングルモルト通であり、熱烈なタリスカーラバーである。

谷川には“島地勝彦公認現場監督”という顔もある。わたしの仕事場の8畳のリビングに14畳タイプの大きな業務用エアコンを設置してくれたのも、床を新しいフローリングに貼り替えてくれたのも、谷川である。

また谷川はたいそう気前のいい男である。いつだったか、わたしが「久しぶりにポートエレンのファーストが飲みたいな」とつぶやくと、どこからともなく入手して、颯爽とサロン・ド・シマジ本店に現れたことがあった。

そして谷川は、柴田錬三郎先生、今東光大僧正、開高健先生のお墓に毎年行って、墓石を丁寧に磨いてくれている墓守でもある。

(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)

* * *

ボブ: 谷川さん、今日は七五三ですか? 谷川さんが三つ揃いのスーツを着ているのをはじめてみました。

シマジ: そうだよね。近くの現場から作業服のまま、突然、伊勢丹のバーに現われたりする男だからね。いったい今日はどうしたんだ?

立木: 谷川、いつもシマジの用心棒みたいに取材現場にやってくる谷川と、今日は別人だね。具合でも悪いのか。顔が蒼いぞ。

谷川: さっきから緊張しっぱなしなんです。立木先生にカメラを向けられて心臓が早鐘を打っているんです。

シマジ: ホントか。剛毛の生えているお前の心臓がか。

谷川: ぼくなんかが立木先生に写真を撮っていただくなんて、恐れ多いことです。誰だって、みんな緊張しますよ。先ほどからいただいているタリスカー・スパイシー・ハイボールの味が全然しないんです。アルコールが入っているか入ってないかもわからないほど緊張しています。ボブ、もう少し強めに作ってもらえませんか。

ボブ: はい、畏まりました。ソーダを少なめにして作りましょう。

立木: シマジ、なにか面白いことを言って、谷川の顔をほぐしてくれ。これじゃおれの腕をもってしても男前には撮れないよ。

シマジ: 了解! 谷川、柴田錬三郎先生の墓を掃除しにはじめて伝通院を訪ねたときの話をみんなに聞かせてくれないか。

谷川: ぼくはオヤジ(シマジ)の師匠たち、つまり柴田錬三郎先生、今東光大僧正、開高健先生の墓守もしているんですが、はじめて柴田先生のお墓を訪ねたとき、場所が分からず、早朝、お寺の事務所で「柴田錬三郎先生のお墓はどちらですか」と尋ねました。

そしたら、眠そうな顔をした小僧が「こちらから行かれて右に曲がってすぐのところにあります」と言うので、その通りに行くと、たいそう立派な柴田家のお墓がありました。

谷川: さっそく気合を入れて墓石をピカピカに磨いていたら、さっきの小僧がやってきて「お客さん、それは墓ちがいです。柴田先生の墓はこちらです」と言うじゃありませんか。なんと柴田先生の本名は斉藤だったんですよ。

ヒノ: アッハッハッハ。それは傑作ですね。

谷川: まったく知らない人のお墓をピカピカに磨いたのは、わたしも生まれてはじめてでした。それも寒い寒い2月の話です。

ボブ: でも谷川さんにはきっといいことがありますよ。日本語で「御利益」っていうんですかね。新しく作ったタリスカースパイシーハイボールのお味はいかがですか?

谷川: だんだん美味しく感じできました。タリスカーは大好きなシングルモルトなんです。

立木: よし、少し表情がほぐれてきたぞ。いい男に撮ってやるからな。

谷川: ありがとうございます。女房も喜びます。

立木: ところで、前から気になっていたんだが、谷川はどうしてシマジを「オヤジ」と呼んでいるんだ?

海が育んだシングルモルト スコッチウイスキー
タリスカー 10年(TALISKER 10 YEARS)

スカイ島が誇る、金色の蒸留酒。ピートと海潮の力強い香りとスモーキーな甘さを持ち合わせた、まさに男性的なモルトです。爆発的かつ複雑な香味の特徴が人々を惹きつけてやみません。