楽天がAmazonに勝てない理由は「物流哲学の差」にあった

割引している場合じゃない
加谷 珪一 プロフィール

アマゾンは一連の高度なサービスを実現するため、ここ数年、大型の物流センターを相次いで建設しており、すでに13ヵ所のセンターを自前で運用している。

その中でも最大規模となっているのが2013年に稼働した小田原の物流センターで、延べ床面積は約20万平方メートルに達する。米アマゾンの物流センターの平均的な面積が11万平方メートルであることを考えると、小田原の施設は世界的に見ても大きい。

また、昨年8月に川崎市にオープンした物流センターでは、国内初となるロボットによる商品管理システム「アマゾンロボティクス」が導入されている。

アマゾンは全社的になかなか利益が出ない状況が続いていたが、ウラではこうした巨額の投資を続けていた。一連の巨額投資がようやく実を結び、利益に貢献するようになっている。

 

楽天もアマゾンに対抗するため、出品者の配送を取りまとめる物流センターの構築を計画していた。当初は全国に8ヵ所のセンターを構築する予定だったが、計画は順次縮小となり、現在では千葉県の市川市に2ヵ所、兵庫県川西市に1ヵ所の合計3カ所の運用にとどまっている。

3拠点を合計しても延べ床面積は15万平方メートル程度なので、アマゾンと比較すると規模の小ささは一目瞭然だ。

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再起できるか

両社の違いを分けたのは、物流に対する考え方そのものである。楽天にとって物流は付随的なものでしかなく、ビジネスの根幹部分であるとは認識してなかった可能性が高い。もしそうだとするならば、原因は楽天のビジネスモデルそのものにある。

先にも述べたように、楽天は、出品者から出店料を徴収するビジネスモデルを基本としている。楽天にとって直接利益をもたらしてくれる「お客さん」は出店者であって利用者ではないのだが、この事実は、時に利用者との間に利益相反をもたらす可能性を秘めている。

楽天にとっては、出店者のサービス水準が低くても、出店者から徴収する料金さえ確保できれば自社の業績は拡大する。

もちろん最終的に利用者の支持があってこそだが、顧客である出店者側の事情が最優先されやすいのは事実である。新しいサービスを登場させるにしても、出店者側の協力を得ないとプロジェクトは進まない。

一方でアマゾンの顧客は常に利用者である。アマゾンは自らの収益を拡大するためには、利用者の満足度を向上させなければならず、こうしたプレッシャーが高度なサービス開発につながった可能性は高い。

とりあえず楽天はEC取扱量を拡大させることに成功したが、これは多少無理な値引きで実現した数字といってよい。無制限にポイントを引き上げることはできないので、この販促もいつかは限界がやってくる。

取扱量を継続的に確保していくためには、「お金」ではなく「サービス」の中身で「最終利用者」という「顧客」の満足を確保しなければならないが、超えなければならないハードルは高そうだ。