沢尻エリカ「別に」騒動を今振り返ると、日本社会の怖さにゾッとする

あのバッシングは何だったのか?
堀井 憲一郎 プロフィール

タイトルを並べるだけではわかりにくい。

上野樹里の『のだめカンタービレ』『冗談じゃない!』『素直になれなくて』は、20代前半らしい恋愛ドラマのヒロイン役だ。〝のだめ〟は、ちょっとキャラが強くてまっとうな恋愛には見えなかったし、音楽に情熱を燃やしていたが、それでもずっと先輩が好きな役であった。

『ラスト・フレンズ』は性同一性障害のオートレーサー役だった。これは締まったかっこいい役だった。『アリスの刺』は復讐を果たすダークヒロイン女医役。悪役といえば悪役。やはり大河ドラマの主演で、いろんなものが変わったんだとおもう。

北川景子は2008年から3年間(1年に1クールずつ)月9ドラマに出た。『太陽と海の教室』と『ブザー・ビート』ではヒロイン、『月の恋人』は篠原涼子、リンチーリンに次ぐ3番手女性役だった。

冷たい表情ながら心はホットな(ホットなところが見える)ヒロイン役が多い。プロファイラー、刑事、教師から脚本家(志望)、キムタク付きの事務官、探偵に家を売るオンナと主演クラスで出続けている。常にキビキビしている役柄だ。

石原さとみは、もうすこしふんわりしている。上野樹里と違うふんわり感。『ヴォイス』での青春群像ドラマの紅一点とか、『左目探偵EYE』の買い物依存症の借金女王、霊能力のない霊能力者小田切響子、『リッチマン、プアウーマン』での大金持ちと恋するプアウーマンなど。

かなり、アイコン的である。何というか「00年代の女性らしさのアイコン」である。ぷっくり唇。どのドラマでもその役柄に埋もれないで、いつどこで見ても石原さとみにしか見えない。そこが強みである。

沢尻エリカが20代のドラマに出ていたら、こういうドラマに挟まって出ていたわけである。このどれかが沢尻に代わっていたというわけではない。沢尻がいればまた別の企画が立てられ、そこにおさまっていたのだろう、ということだ。

北川景子と石原さとみのあいだくらいの役ではないか。あいだってよくわからないけど、まあ、真面目な女性役です。まじめな女子大生や、真面目に結婚に憧れる働く女性とか、そういうところ。

沢尻エリカに気の強い役はあまり向いてなくて(3ヵ月続くドラマではあまり向いてなくて、2時間の映画だと大丈夫)、悪役なら、表面はとてもやさしいのに、底にひやりとするものを抱いてる役がいいとおもう。おれがいちいち言うことでもないけど。

とりあえず30代の沢尻エリカが見られるのは、楽しみである。

90年代末、そこにはまだアマゾンもiPodもグーグルもウィキペディアもなかった――。00年代に起きた静かな「大変革」とは?