『母になる』は誘拐された息子と再び出会うドラマである。
日本テレビ系列、水曜10時。3歳で誘拐された息子と、9年後に出会ったが息子はまったく母のことを覚えていなかった。さて、どうなるのでしょう。
主演は沢尻エリカ。
ドラマの展開よりも、沢尻エリカが母役として自然に演技していることに、感慨を持ってしまう。
沢尻エリカはもう母になる年齢なのか。
彼女は1986年4月の生まれなので、31歳だ。
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沢尻エリカが舞台挨拶で「べつに…」と言って不思議な騒動が起こったのは2007年のことである。
とても印象的だった。沢尻エリカの挨拶にも驚いたが、それより驚いたのはみんなの反応である。
日本中みんなで沢尻エリカに拒否反応を示した。ほぼ国民的な反応だった。え、そこまでみんなで反応するのか、とすごく驚いた。
もちろん沢尻エリカの態度は褒められたものではない。
主演映画のプロモーションのため舞台に立ち、コメントを求められるが自分から話そうとしなかった。主演女優を無言のままに帰すわけにはいかず、司会者が「思い入れのあるシーンはありますか」と聞いたら「特にありません」と答え、撮影中にクッキーを焼いて差し入れしたことについてその心情を聞かれて「べつに」と答えた。
プロモーションの場で大人がするような受け答えはない。
ただ、国民みんなで怒るようなことでもない。
でも国民全員で怒ったのだ。
実際に怒ったのは国民の4割というところだとおもうが、4割が怒って、3割が否定せずにスルーしたら、それでもう国民の総意が形成される。うちの国はいつもそうやって進んでいるのだ。私は怒っていなかった、と言ったところであまり意味がない。
とにかく異様な光景だった。他の国の人が見たらちょっと怖かったとおもう。
何となく、沢尻エリカはずっと「べつに」と言い続けてたような印象を持っているが、そんなことはない。一度だけだ。
手作りクッキーを差し入れてくれた、という監督のコメントを拾って、司会者がどういう気持ちだったんですかと聞いたので、「べつに」と答えた。黙ってスルーすればまだよかったのにとおもうが、そう答えた。その一度の発言がテレビで何回も放送され、いまでもインターネット上で見られる。
これが沢尻エリカのイメージとなった。
「べつに」が一人歩きして、彼女は悪と認定されたのである。