中川淳一郎×適菜収「天気予報にまで怒る人々へ」

博愛のすすめ、を教えよう
中川 淳一郎, 適菜 収 プロフィール

文句を言う奴らへ

適菜 コンビニの入り口の自動ドアに挟まっても、自動ドアに対して怒らないですよね。だから、カウンターの椅子に荷物を置くようなポン中にいちいち腹を立ててもしょうがないかなと思います。こちらの次元を少しだけ上げると、そういうポン中も、自動ドアも同じです。

中川 自動ドアなら、まだマシなんですよ。一応人間が作ったものだし、人間が店に設置したものだから、責任を問える可能性がある。昔読んだ東海林さだお(1937~/漫画家、エッセイスト)のエッセイで好きなものがあって、おばさんが公園を歩いていて、石につまずいて転びそうになった。その後ずっと石を睨んでいたという。

適菜 いい話だなあ。おばさんと石は同レベルだったんですよ。でも、近代人は「責任」という概念に汚染されていますよね。なにかあれば「責任を取れ」と言い、責任を取ると満足してしまう。

中川 突然雹が降ってきて車の窓ガラスが割れたとする。そしたら、天気予報で雹を予想していなかったと文句を言うやつが出てくるはずです。つまり、人為的なもののほうに引っ張りたいわけですね。

人間に責任を押し付けても仕方がないことはたくさんあるけれど、人間社会は「責任」という概念中心で動いている。いかにして自分の不幸を、他人を不幸にすることによって挽回しようかということばかり考えている。そんな状況だからこそ、人間に対する愛というものを考えていかなければならない。

毒舌の果てに見た新境地。ロクでもない世の中で幸せに生きる知恵、満載!