実は、世界景気はもう減速に向かっている
「日経平均2万円」も風前の灯火…世界景気はピークアウト間近?
6月に入り、日経平均株価もついに2万円の大台に乗り、株式市場にも明るさが戻った。今週になって、再び2万円を割り込んでしまったが、市場関係者の株価の先行きに対する強気の見方は変わっていない。
強いのは、日本株だけではない。アジア新興国を中心に、年初来高値を記録する国が続出している。例えば、日本の経済論壇ですこぶる評判の悪い韓国の株価は非常に強い。韓国の代表的な株価指数であるKOSPIは2012年から続くボックス圏を抜け、高値をつけている。
むしろ、株価でいえば、日本は韓国をはじめとするアジア諸国においていかれ続けていたのが実情である。そのためか、「ついにキャッチアップの機会が訪れた」と市場関係者の鼻息は荒い。
株価とマクロ経済の「ファンダメンタルズ」の動きは必ずしも一致しないが、最近の日本株の堅調は、昨年終盤から回復基調を強めてきた経済に対する評価の見直しという側面は否定できないだろう。
そして、この日本経済の回復は、いうまでもなく、輸出の回復に起因するものである。例えば、日銀が発表している実質輸出指数は、直近(4月)で、105.7ptだったが、これは、昨年11月から急激に上昇し始めた。この実質輸出指数の伸びは、製造業の業績にも寄与している。
法人企業統計等を利用して製造業の経常利益(対前年比)を要因分解すると、「売上数量」の寄与が大幅に高まっている。これは、輸出数量指数の上昇とほぼ軌を一にしている(図表1、2)。


もちろん、輸出の回復は世界景気の回復によるものである。特に、「Global PMI(世界の企業の景況観指数)」等をみるかぎり、世界景気は、昨年10月から回復基調と強めてきた。
だが、筆者が世界の景気指標を見る限り、残念ながら、やや翳りが見えてきたのではないかと考える。もし、世界景気が減速に転じれば、輸出が牽引している日本の景気も再び停滞を余儀なくされることは想像に難くない。